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子犬購入は生後56日を過ぎてから/動愛法(2ページ目)

「動物の愛護及び管理に関する法律」(略して動愛法)が改正され、2013年9月1日より施行されました。改正における議論の主要なテーマは子犬や子猫の販売月齢の制限。どんなところが改正されたのか、詳しくみていきましょう。

大塚 良重

執筆者:大塚 良重

犬ガイド

一度飼ったからには終生生活をともに、棄てたら100万円以下の罰金

犬は命あるもの

飼ったからには、愛犬が命を全うするまで面倒を見るのが基本

飼うと決めた以上、そこには飼い主として、その犬を終生世話する責任が生じます。思っていた犬との生活と違う、言うことをきかない、可愛くない、シニア犬になって面倒が見切れないなどの理由で世話を怠ったり、挙句の果てには愛犬を棄てるなどもってのほか。

水や食事を与えない、病気やケガがあるのに治療せずに放置する、オシッコやウンチの始末をせずに不衛生な環境で飼育する、劣悪な環境下で衰弱させる、過度な労働を強いるなどは虐待と見なされ、その場合、100万円以下の罰金となります(これまでは50万円の罰金)。愛犬を棄てた場合も同じく100万円以下の罰金(虐待と同じく、これまでは50万円の罰金)。

「もし自分だったら……」と想像すれば、人と犬との違いはあるとしても、最低限必要な環境と世話を整えてあげることはできるはずです。

その他、愛護動物をみだりに殺したり、傷つけた場合には、2年以下の懲役、200万円以下の罰金となります(これまでは1年以下の懲役、100万円以下の罰金)。ちなみに、法律的に言う「愛護動物」とは、牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、イエウサギ、鶏、イエバト、アヒル、その他、人が飼っている哺乳類や鳥類、爬虫類を指します。

これでおわかりのように、改正によって罰則が強化されました。

多頭飼育に起因する虐待のおそれがある場合は勧告・命令の対象に

近年、多頭飼育が増加している傾向にありますが、多頭飼育の状況下で、過度な吠え声が続く、オシッコやウンチが適切に処理されておらず臭気が蔓延していたり多数のハエが発生している、爪も伸び放題で被毛も汚れきっていたり適切な飼育がなされていない、繁殖制限がなされておらず、飼育頭数が増加している、などの様子が見られ、行政職員による指導を受けても改善されない、またはそれを拒んだ場合には虐待のおそれがあるとして勧告・命令の対象になります。

複数の犬と暮らすということは、それなりに楽しいこともありますが、自分でほんとうにそれだけの数を飼育できるかどうかきちんと考える必要はあるでしょう。また、年齢が近い犬同士であった場合、将来的には続けて老犬介護状態になる可能性もあるのだという覚悟も必要です。くれぐれも何の考えもなく犬を迎えることのありませんように。

保健所や動物管理センターは理由によって動物の引き取りを拒否できる

犬と暮らす人、犬に関わる人、そのすべてがほんとうの意味で犬好きとは限らないのも残念ながら事実です。いろいろな理由をつけて犬を保健所や動物管理センターに持ち込む人たちは相変わらずいます。これまで都道府県などはそうした引き取りを拒否することはできないことになっていましたが、改正後は基本的に犬猫の所有者から引き取りを求められた場合、引き取らなけばならないとしながらも、理由によっては引き取りを拒否できるようになりました。

動物取扱業者からの引き取り申し込み、何度も繰り返しての引き取り申し込み、高齢や病気が理由となっている場合、新たに飼ってくれる人を探す努力をしていない場合、飼育が困難であるとは認められない場合、繁殖制限措置に対する指示に従っていない場合、などがそれにあたります。

改正動愛法には、「飼い主は動物がその命を終えるまで適切に飼養しなければならない(終生飼養)」と明記されました。法律に明記されずとも、ペットと暮らす以上、それは人としての基本理念でもあるでしょう。引き取りを拒否できるものは、どれも終生飼養に反する理由です。しかしながら、どうしても飼えなくなる事情というのもあります。そのような時には、可能な限り新たに飼ってくれる人を探す努力をしたいものです。

世は犬猫の殺処分ゼロに向けて大きく動き出そうとしています。安易に飼わない、安易に棄てない、飼ったならば最期まで面倒を見る。これが殺処分ゼロという目標を達成する一番の近道ではないでしょうか。

その他の改正点

その他、これまで「動物取扱業」という名称だったものは、「第一種動物取扱業」に変更され、犬や猫を販売する第一種動物取扱業は、販売する犬猫の健康や安全を保持するための体制づくりや、販売するのが難しくなった場合の対策など、「犬猫等健康安全計画」というものを作って提出する他、個体ごとの帳簿の作成および管理、毎年1回の所有状況報告などが義務付けられました。

また、動物愛護団体など非営利目的で一定の頭数以上の動物を扱い、飼養施設を有している場合は、第二種動物取扱業として届出が義務付けられます。

法律があって人間社会があるのではなく、必要があって人間が作るのが法律。今後も必要に応じて、「動物の愛護及び管理に関する法律」も更なる改正が行われていくことでしょう。


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※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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