若者は旅に出ていた?!
「若い世代が旅行離れしている」と言われていますが、いったいどなたがそれをおっしゃているのでしょうか。もしかしたら、これまで「若い世代」を扱ってきた観光業界(旅行会社、運輸機関、宿泊施設)の方々なのかもしれません。グラフ(1)「ここ2年間の間で旅行に行きましたか?」をご覧ください。20代の若い世代は、国内、海外ともに他年代と同じくらいの旅行経験があるのです。特に、海外は他年代に比べても一番高い比率となっています。
若者の「旅」の定義とは?
20代は何を目的に旅をしているのでしょうか?そして、何を「旅」と位置づけているのでしょうか?1泊以上の宿泊目的を測るうえで、「宿泊しても行きたいと思うことは何か?」の回答ランキングをご紹介しましょう。しかしながら、グラフ(2)「宿泊した一連の行為で“旅行”としてカウントしましたか?」では、2位(フェス・ライブ)や3位(スポーツ)の目的は、全世代を通じて半数以上が“旅行”としてカウントしていないことが分かったのです。
「フェス・ライブ、スポーツ観戦」などは、既存の旅行会社を使わずにネットでダイレクトに予約しているのではないでしょうか。そのために、そうした行動が「旅行」と認識されず、「自分は旅行に出かけた」と思われていなかったのではないでしょうか。
リアルな繋がりにこそ投資する
また、若者が旅行をしないと言われている理由に日常の高額出費に対する負担があり、その典型として「携帯電話の代金に費やしてばかりいるからだ」という声も聞かれますが、グラフ(3)「旅行等に行く際の平均的な予算額」では、20代は他の年代に比べ、微かではあるものの5万円以上を予算とする割合が高い、ということが分かりました。これは、およそ60代と同程度の割合です。すなわち、「携帯電話の代金に~」という推測は間違いということになります。これまで、「格安航空券を使ったパッケージツアー」こそ若者の旅の代名詞のように言われてきましたが、そういった手段的なことよりも、スマートフォンやパソコンといったバーチャル世界では手に入れることができない「旅」という「リアルな繋がり」こそ、若者にとっては対価を支払いたい対象であると言えるのではないでしょうか。 「モノはどこのものでもお取り寄せができますが、コト(体験)はできない」ことを感じとっているのでしょう。
次のページでは、今どきの若者の旅スタイルをご紹介します。