歴史上の人物の評価とシンクロ
2007年の正月、テレビ東京系新春ワイド時代劇は『忠臣蔵 瑤泉院の陰謀』。おなじみ赤穂浪士の討ち入りを裏で操っていたのは浅野内匠頭の正室・阿久利/瑶泉院(稲森いずみ)だとする視点で描いた異色作です。
高嶋政伸が演じたのは浅野内匠頭。内匠頭が殿中で吉良上野介(江守徹)を切りつけたのは、普通は赤穂側を善玉とするために吉良上野介にいじめられたことを原因とすることが多いのですが、本作では学説上有力だけどフィクションではあまり取り上げられない、浅野内匠頭が病気の発作で乱心したという理由を採用しています。
これまではいい人として描かれていた浅野内匠頭を、偏執的強迫症の病的な人物として描き、それをこれまで好青年だった高嶋政伸が演じてイメージチェンジするという役柄と俳優が重なりあう構図です。
脚本は大河ドラマを三作手がけたジェームス三木、監督も元NHKで大河ドラマ経験ありの重光亨彦。ドラマもしっかりした内容で楽しめました。
私生活でもイメージが
その後、『臨場』では倉石(内野聖陽)と激しくぶつかり合う管理官、『冬のサクラ』でDVをふるう医院長、『サキ』では復讐のターゲットになる病院理事長とクセのある役、悪役を演じることが多くなり『DOCTORS』の森山につながっていきます。そして『瑶泉院の野望』と同じ2007年にはもう一つ、重要な転換点となる作品があります。ドキュメンタリードラマ『大韓航空機爆破事件から20年 金賢姫を捕らえた男たち~封印された3日間~』です。ここで金賢姫/蜂谷真由美を演じたのは元妻の美元、ここで出会って結婚したのです。
あの泥沼の離婚劇により、それまで芸能一家のプリンスだった高嶋政伸のイメージは変わってしまったわけで、離婚は不幸だったんでしょうが、俳優として今のような役柄を演じるにはプラスになっているといえます。