その要因は沢村一樹演じる主人公・相良浩介の「患者のためなら手段を選ばない」という信条と人を喰ったキャラはもちろんですが、ライバルのこともわすれてはいけません。
冬彦さんのいとこ?
森山卓(高嶋政伸)は外科医としての能力は高いが、傲慢で自信過剰、自分のミスを認めず患者にも謝罪しない。興奮すると「ンンンンン!」と奇怪なうなり声を出す医者の悪い部分を際立たせたようなキャラ。第1話で堂上院長(野際陽子)は引退して甥の森山に院長を譲ろうとしたが、浩介はまだ早いと銀行の融資をネタにそれを阻止。当初は森山にもっといい医者になってもらうように陰謀をめぐらしていましたが、第4話で入院してきたベストセラー作家の鈴木龍之介(笹野高史)の助言により、森山でなく自分が院長になろうとするのが後半のストーリーです。
それで森山を演じる高嶋政伸の怪演は、あまりのキモさが逆に魅力。『ずっとあなたが好きだった』で佐野史郎が演じた冬彦さんを彷彿とさせます。野際陽子が肉親役というのが共通している、ということは冬彦さんのいとこか?
昔は「いい人」だったのに
森山の演技について高嶋政伸は「口先だけの演技じゃつまらないので、森山の心をつかむように心掛けています」とコメント。また「10年くらい前まではいい人をやらせたら最高と言っていただいたこともあるのに、最近はネットでクソ虫やらせたら最高だって言われて(笑)。振り幅がでかすぎてびっくりしました」とも。たしかに昔は好青年イメージでした。初期の代表作『HOTEL』シリーズ(1990~2002)ではホテルを愛する新人ベルボーイ役を熱演。『ダブル・キッチン』では山口智子のいい夫役、パパ役になった『こちら本池上署』シリーズ(2002~2005)も同様のキャラクターです。
いったいどこでイメージは変わったのか? 探ってみるとターニングポイントは2007年でした。
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