映画/口コミでおすすめの青春映画(洋画)

戦争が生み出した愚かで哀しい青春「ルシアンの青春」

第二次世界大戦末期のフランス、ナチスの手先として働くうちに人間的な心を失いつつあった17歳の少年が、美しいユダヤの女の子と出会い、自分を取り戻して行く悲劇的な青春ストーリー。ただ銃を持ち、支配する特権を振りかざす愚かな青春を送ったルシアンはあまりにも無知でしたが、でもそれは戦争が生んだ悲劇の青春でもあるのです。

投稿記事

少年は人間らしい生活を取り戻せるのか……

■作品名
ルシアンの青春(1973)
■監督 
ルイ・マル
■主演 
ピエール・ブレーズ、オーロール・クレマン 
■DVD&Blu-ray発売元
ポニーキャニオン


第二次世界大戦末期のフランスを舞台に、ナチスの手先として働くうちに人間的な心を失いつつあった17歳の少年が、美しいユダヤの女の子と出会い、自分を取り戻して行く悲劇的な青春ストーリーです。


1944年、連合軍がフランスのノルマンディ上陸作戦を開始した頃。

フランス西部の農家の息子だった17歳のルシアン(ピエール・ブレーズ)は、病院の掃除夫として働いていたが、ある日家に帰ると父はドイツ軍の捕虜に、母は村長の情婦となっていた。

ルシアンは、レジスタンスに加わろうとするが断られ、ある夜ナチのゲシュタポの手先となったフランス人に声をかけられ、酒を飲まされ、村のレジスタンス達の様子を話してしまう。

以来、ルシアンはゲシュタポの手先として働くが、ユダヤ人の洋服屋の娘フランス(オーロール・クレマン)と出会い一目惚れしてしまう。

そんな時、ナチがレジスタンスのゲシュタポ攻撃への報復を計画。
フランスやその祖母まで標的に入れっていることを知ったルシアンは、二人を見殺しにするしかないと考えるが、あるきっかけでナチの汚さに気づき自分を取り戻す。

フランスと彼女の祖母とともに、スペインへと脱走を試み、国境に近い美しい山間の空き家でやっと人間らしい生活を取り戻し、子供のように遊び人生を取り戻したかのようにみえたが……


17歳のルシアンはあまりにも無知で、レジスタンスだろうが、ゲシュタポだろうが関係なく、ただ銃を持ち支配する特権を振りかざす愚かな青春を送ります。

でもそれは戦争が生んだ悲劇の青春でもあるのです。

やっと自分の愚かさに気がつくルシアンは、フランスや彼女の祖母とともに大自然の中で17歳にふさわしい、無邪気な青春を取り戻したかのように思ったのに。

身勝手で無知なルシアンと、フランスの父親のやりとりの演出も秀逸。

勝手に娘に惚れて家に入り込み好き放題する、どうしようもない愚か者に見えるルシアンに、どこか少年の無垢の部分を感じ取った父親。

ゲシュタポの手先のルシアンに媚びることなく、軽蔑することもなく、大人として接する態度が印象的でした。

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