ストーカーの恐怖を描いた、クリント・イーストウッドの初監督作品
■作品名恐怖のメロディ(原題:PLAY MISTY FOR ME、1971年)
■監督・主演
クリント・イーストウッド
カリフォルニア、モントレーでラジオのDJを務めるデイブの番組に、いつも「ミスティ」という曲をリクエストしてくる女性イブリン。
そのイブリンがデイブの行きつけの店に現れ、行きがかりで一夜を共にするが。
クリント・イーストウッドの初監督作品です。
ちなみに、「ダーティ・ハリー」などの監督ドン・シーゲルが劇中少し登場しています。
まだ70年代当時は、”ストーカー”という言葉はありませんでしたが、この作品は主人公を執拗に追い回す女性のストーカーの恐怖を描いており、1987年に製作された「危険な情事」の原型とも呼ばれています。
とにかく怖いです。
今まで数多くのサスペンスやスリラーを観てきた私でも、「怖い」と言ってしまうほどでした。
イブリンの第一印象はおとなしい女性に見えるのですが、徐々に本性をあらわしていく。
突然発狂したり、その掴みどころのない性格、何を考えているのかわからないという辺りが怖さを感じさせます。
ヒッチコックの作風を基調としているようですが、怖さを感じさせる演出も素晴らしい。
銃なんて使いません。
視覚的に鑑賞者が思わず「痛い!」と思える物を使っている辺りは、計算高いと思います。
音楽好きでもあるイーストウッドの選曲センスも良く、ドロドロな展開ながらも、ドロドロさは感じさせません。
監督としての才能を既に発揮していた初監督作品です。