コッポラ監督のカンヌ映画祭グランプリ受賞作!
■作品名『カンバセーション…盗聴…』(73)
■監督
フランシス・フォード・コッポラ
■主演
ジーン・ハックマン、ジョン・カザール
■DVD発売元
角川エンタテインメント
■Blu-ray発売元
ジェネオン・ユニバーサル
この映画はフランシス・フォード・コッポラ監督が、『ゴッドファーザー』(72)と『ゴッドファーザーPART2.』(74)という大作の間に撮った比較的地味なミステリー作品ですが、カンヌ映画祭ではグランプリに輝きました。
映画はサンフランシスコのユニオン広場から始まり、人混みの中にいる一組のカップルの会話を盗聴する主人公ハリー(ジーン・ハックマン)のきめ細かな仕事ぶりを映します。
彼にとってはごくありふれた仕事のはずでしたが、録音したテープを聞くうちに、ある殺人事件に関する秘密が語られていることに気付きます。
中盤からは、自分も盗聴されているのでは?という不安を抱いたハリーの姿が中心に描かれ、プロの盗聴屋が逆に盗聴されるという皮肉なテーマが浮かび上がってきます。
最後は精神的に追い詰められ、盗聴器を捜して自分の部屋を壊しまくるハリーの姿にぞっとさせられます。
コッポラの丁寧な演出、ハックマンの好演に加えて、デビッド・シャイア作曲のピアノのリフレインを多用した音楽も、ハリーの不安を助長する上で大いに効果を発揮しました。
ちなみにデビッドはこの時期、コッポラの妹のタリア・シャイアと結婚していました。
この映画は、ウォーターゲート事件の直後に公開されたため、政治的な意図があったのではとうわさされましたが、コッポラはプライバシーの問題に言及しただけだと語っています。
大作とは一味違う、コッポラの小品の佳作を楽しんでください。