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子どもは大人と学び方が違う
子どもは同じようなことを何回も繰り返すもの。「何度言っても分からないんだから!」というような状況は多々あります。でも、そんなとき、大きな声で怒鳴ったり、何度も繰り返し注意しても、子どもは、「よし、やろう!」という気にはなりません。なぜなら、子どもは、ママに何回も同じお小言を言われるよりも、実際に自分の身に起こった経験から学ぶからです。それはどういうことかというと、
■ ママに、「今度、お友達とケンカしたら、すぐにお家に帰るわよ」と言われたのに、またケンカをしてしまった。それなのに、ママは家に帰ろうとしなかった。
⇒この経験で、子どもは、「ケンカしても、家に帰ることはない。だから、ケンカをしても大丈夫」と学ぶ
■ママに、「宿題をやらなかったら、おやつはなしよ」と言われたのに、すぐにとりかからなかった。それなのに、ママは、「今回だけよ」と言っておやつをくれた。
⇒この経験で、子どもは、「宿題をやらなくても、結局、お菓子はもらえる。だからすぐに宿題をやらなくたって大丈夫」と学ぶ
■ママに、「おもちゃを大事にしないのなら、もう何も買ってあげないよ」と言われたのに、投げて壊してしまった。それなのに、ママは、「これからはちゃんと大事にするのよ」と言っておもちゃを新たに買ってくれた。
⇒この経験で、子どもは、「もし壊れちゃったら、また買ってくれる」と学ぶ
などが典型例。言語のコミュニケーションに慣れている大人とは違い、言葉を学習中の子ども達は、経験で学ぶ。これが大人と大きく違います。
子どもには言葉+行動で教えてあげる
だから、ママも言葉に頼りすぎず、言ったままにならないように気をつけることが大切です。子どもがママの言うことを聞くプロセスには2ステップが必要。つまり、言ったことを実行に移すことがカギなのです。「ポジカリ2ステップ」とは、1.言ったことを 2.行動に移す、こと。
とはいえ、いざやってみると、さまざまな難問にぶつかります。ここからは、ポジカリ2ステップをスムーズに実現するコツについて話を進めていきましょう。
まずは範囲、ルールを明確に
ポジカリ2ステップを実践するには、まず準備が必要です。それは、ママのOKの範囲を決めること。叱り始める前に、どこからどこまでがOKなのかが明確でないと、叱っていても一貫性に欠ける対応になってしまうからです。たとえば、
A. 昨日のOKの範囲が、「テレビ1時間」だったとしましょう
B. それにもかかわらず、今日のOKの範囲が、「テレビ2時間」だったとします
すると、明日、子どもはどこまでOKだと思うでしょうか? それは自分にとって寛大な方。つまりBです。
昨日の範囲と今日の範囲の差(ここでいえば1時間)は、お願いすればなんとかなると思ってしまう部分。「あと1回」「今回だけ」「あとちょっとでいいから!」はこの差の部分をグイグイと限界まで押し切っているときに出る言葉なのです。つまり、子どもは、ママがあいまいな部分がどこかが分かっているのですね。
特に小さいうちは、「昨日はテレビをつけたままだった」のに、「今日は夕飯前の1時間だけ」というように、日によってママの対応が変わってしまうと、納得が行かず、ママの限界値まで押してきがち。その押し問答が結果的に叱る時間を引き延ばしてしまうので、それを避けるためにも範囲を決めることは大事なのです。
まずは、睡眠、着替え、片づけ、食事、歯磨きなどの日常的に発生する生活習慣や、テレビ、公園、おやつなど叱る原因になりがちなものから見直しを図りましょう。
それらに、何時なのか、何分間なのか、何回なのか、いくつなのか、など具体的な目安はありますか?もし、ないのであれば、それを定めることからはじめていきましょう。自分の育児を客観的に見直すという意味でもおすすめです。
その際のポイントは、厳しすぎず、甘すぎずがポイント。ママも子どももお互いが納得できる範囲でないと、バランスが崩れてしまうからです。0でもなく、100でもない、その子の年齢に合った「50」を見つけて設定してあげましょう。
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