国の教育ローンに申し込む前に要件を確認!
大学などの学費は、奨学金で賄うことを考えている方も多いのですが、奨学金は入学後に月払いで支給されるものが大半です。入学前に納める初年度納付金が不足しそうなときは、入学前に受け取れて、奨学金との併用も可能な「国の教育ローン」を検討してはどうでしょう。この利用要件などが、2013年5月から一部緩和され、今までより利用しやすくなりました。改正点は次の3つです。
国の教育ローンの改正点1:
世帯年収が高めでも、要件に1つでも合えば利用できる!
国の教育ローンは、融資対象となる学校に入学・在学する子どものいる保護者で、配偶者の収入を含めた世帯年収が一定額以内の人が利用できます。利用可能な世帯年収の上限は、扶養する子どもの人数によって異なります。たとえば、子どもが1人なら790万円(年間所得では590万円・以下同)まで、子どもが2人なら890万円(680万円)まで、子ども3人なら990万円(770万円)まで……と、子どもの人数に応じて高くなります。ただし、子どもが1人または2人の場合、上記の世帯年収を超えても、家庭の状況などによって所定の要件に1つでも該当すれば、世帯年収990万円(770万円)の人まで利用できます。この所定の要件は6つでしたが、新たに4つ追加され、10の要件のどれか1つでも当てはまれば、申し込めることになっています。
【当初の要件は次の通り】
1. 借入の申込人またはその配偶者が単身赴任している
2. 返済負担率(年間収入または所得に占める借入金の年間返済額の割合)が30%超
3. 勤続(自営業の場合は営業)年数が3年未満
4. 居住年数が1年未満
5. 親族などに要介護認定を受けている人がいて、その介護費用を負担している
6. 親族などに所定の医療費の公的助成制度の利用者がいて、その費用を負担している
【新たに追加された要件】
7. 世帯のいずれかの人が自宅外通学(予定)者である
8. 今回の融資が海外留学のための資金である
9. 世帯年収に占める在学費用の負担率が30%超になる
10. 世帯年収に占める「在学費用+住宅ローン」の負担率が40%超になる
新たに追加された要件により、自宅外通学の子どもがいる、または今後その予定になる家庭や住宅ローンの返済によって進学費用が厳しくなる家庭なども、利用可能になるケースが増えるでしょう。
国の教育ローンの改正点2:
海外留学の場合には特例措置を実施
海外留学のために利用したい場合、利用条件は融資の対象となる教育施設で、修業年限が6カ月以上ある場合の留学に限られています。そのため、今までは3カ月程度の語学留学などは対象外でしたが、(1)海外の大学等に語学力の向上などの条件付きで入学を許可された場合で、(2)その条件を満たすために入学・在学する語学学校等の資金として利用する場合、という2つの条件を満たせば、修業年限が3カ月以上で利用できることになりました。国の教育ローンの改正点3:
世帯年収200万円(年間所得122万円)以内の人に対し、特例措置を実施
上記の世帯年収(所得)以内であれば、融資利率が通常より0.4%引下げられます。母子家庭の場合も同様です。2013年7月末現在の融資利率は2.55%なので、この場合は2.15%になります。さらに、上記の年収以内の人は、返済期間が通常は15年以内(在学中の元金据置期間含む)のところ、3年延長されて18年以内まで可能になります。
現在、在学中の子どもの教育資金で困っている場合は、いつでも申し込めます。来春、進学する子どもがいるご家庭は、入学費用が必要な日の3カ月前から申し込みが可能。申し込みから審査、融資の実行までは少し時間がかかるため、資金調達の目途は早めに取り付けるほど安心です。今回の改正点を含め、詳しい利用方法や必要書類は最寄りの日本政策金融公庫の支店、または「国の教育ローン」取り扱い金融機関に問い合わせてみましょう。
【関連記事】
・ 教育ローンの種類と特徴を押さえよう!
・ 知っておきたい!最新「教育ローン」事情
・ 親の責任はどう取る?はじめから教育ローンに頼らない