株・株式投資/決算書からチェック!気になる銘柄の株価

ソフトバンクの配当金増加が株価に与えた影響は?(3ページ目)

ソフトバンクは業績伸長に伴って配当金を5円から40円に増額しています。しかし、理論的に、配当金額と株主価値とは無関係です。ただし、多くの投資家は配当利回りと国債利回りを比較して見ています。余剰資金の潤沢すぎる企業は、増配や自社株買いにより資金を株主に返還することが期待されます。

日根野 健

執筆者:日根野 健

公認会計士ガイド

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あなたの投資先、余剰資金が多すぎないですか?

経営者の立場になって考えてみてください。今年100億円の利益を得ました。このうち、いくらを株主に配当しましょう?

100億円すべてを配当すれば、手元資金が100億円減ります。配当を実施しなければ、手元資金は減りません。

配当金をたくさん支払えば支払うほど、手元資金が減少するので、不測の事態が起こったときの備えが減るわけです。不測の事態に備えて手元資金を保有すること自体、経営者として当然のことでしょう。

問題はその水準です。

株主の立場から考えれば、手元資金が多すぎると、逆に経営者の緊張感が緩み、あるいは収益性の悪い案件に投資したりして、企業の経営効率が下がるのではないかと心配になってきます。

ですから、手元資金は多すぎず、少なすぎず、適正水準が望ましいのです。

ではどこまでが適正水準かというと、具体的に示すことは難しいのですが、
  • 実質無借金
  • 手元資金が1年間の支出よりも多い
という条件を満たせば、手元資金が多すぎるといっても良いのではないでしょうか。

例えば、ファナック(6954)は、2013年3月末において、現預金を7277億円所有しています。無借金です。このときファナックの総資産は1兆2191億円ですから、総資産の59.7%が現預金(!)ということになります。また、1年間の売上が4983億円ですから、現預金はその1.5年分です。

支出の観点からは、1年間の売上原価と販売費及び一般管理費の合計が3135億円ですから、現預金はその2.3年分になります。

極端にいうと、ファナックはなんら営業をせず、売上高ゼロ円でも、2.3年間は事業を継続することができるということです。
【図3undefinedファナックの現預金と総資産、売上原価・販管費合計】

 【図3 ファナックの現預金と総資産、売上原価・販管費合計】


このように現預金が潤沢すぎる企業には、増配や自社株買いを期待したいところです。増配されれば、株主の手元に資金が戻ってくるため、その資金をもとに他の有望企業に投資することができます。また、自社株買いが行われれば、1株価値が上昇するため、株価の上昇を期待できるのです。

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