上腕骨遠位端骨折とは

上腕骨は上腕にある1つの骨です。この骨の肘関節に近い部分で関節を構成している部分を上腕骨遠位端と呼びます。この部位の骨折を上腕骨遠位端骨折といいます。

上腕骨

上腕骨の一部で肘関節を構成している部分が上腕骨遠位端です。


転落、転倒する時に肘関節を進展した状態で骨折することが多いです。直接上腕骨に外力が働き受傷する骨折も多いです。事故、運動などで発生します。

上腕骨遠位端骨折の年齢、性差

運動、事故などに伴い発生する骨折ですので、あらゆる年齢層に発生します。しかしながら5歳から10歳までの子供に発生する場合が大部分です。滑り台、鉄棒、ブランコなどで遊んでいる時の転倒、転落がほとんどです。


上腕骨遠位端骨折の症状

骨折した部位の腫脹、疼痛、変形です。また肘関節の運動は不可能となることが多いです。通常初期から激痛となることが多いです。肘関節周囲の血行障害を合併すると、「フォルクマン拘縮」「前腕区画症候群」へと進行することがあります。

■フォルクマン拘縮……上腕動脈の血行障害から前腕屈筋の壊死、瘢痕化により、手指の運動障害、関節の瘢痕拘縮が残ること。

■前腕区画症候群……四肢の骨、筋膜、骨膜で構成される部位を区画と呼びます。区画の中の圧力が上昇することにより、神経障害、筋肉壊死が生じた状態を区画症候群と呼びます。原因として、骨折、出血、包帯やギプスによる圧迫、血管損傷などがあります。

上腕骨遠位端骨折の診断

■単純X線
単純X線写真は放射線被爆量も少なく、費用もわずか。その場で撮影も終了し当日説明を受けられるので、整形外科では必ず施行します。

単純X線像。

           肘関節単純X線像


上記の写真は肘関節単純X線の写真。上腕骨遠位端で骨折が認められます。遠位端骨折のなかで、この部位は顆上骨折(かじょうこっせつ)と呼ばれます。5歳から10歳までに多くみられる骨折です。


■CT、MRI
上腕骨の場合ほとんどが単純X線で診断可能です。必要に応じてCT、MRI、血管造影などの検査を追加します。

上腕骨遠位端骨折の治療法

上腕骨遠位端骨折の治療として保存療法、手術療法の2つの治療法があります。

■保存治療
初期治療として骨折した骨をもとの状態に戻す整復を行い、シーネ、ギプスなどの固定を行う保存治療をまず行います。整復の状態がよければ、このまま時間をかけて骨折した部位の骨癒合を計ります。長期間の固定が必要となりますので、運動、仕事の制限があります。

単純X線

肘関節単純X線像


骨折した部位で骨と骨のすきまが大きくこのまま保存的な固定を行っても骨癒合は得られないと判断し、手術が必要と診断されました。

●鎮痛薬
ボルタレン、ロキソニンなど非ステロイド消炎鎮痛薬(NSAIDと省略されます)を用います。
どちらの薬でも胃潰瘍を合併することがありますので、胃薬、抗潰瘍薬などと一緒に処方されます。


■手術治療
骨片が多数あるもの、骨欠損があるもの、整復した骨片の位置が正常な位置関係にない場合、保存治療で癒合しない場合などが手術の対象となります。

手術

         手術で上腕骨を金属の鋼線で固定しました。



●抜釘術
骨折が治癒した後に固定具を除去します。抜釘術(ばっていじゅつ)と呼ばれます。
肘関節

         肘関節部単純X線像。金属の鋼線が除去されました。



上腕骨遠位端骨折の予後

フォルクマン拘縮を合併しなければ、保存療法であっても、手術療法であっても、上腕骨遠位端骨折の予後は良好です。早期に整形外科専門医を受診して診断、治療を受けることが大切です。
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