こ、ここまでやるっ? 劇団四季スタッフさんのプロ意識に震える!
いやー やっぱり劇団四季のレパートリー作品って、装置や道具一つ取っても凄いなー カッコいいなーと、すっかり気分が上がってしまったガイドが次に足を踏み入れたのは……ん? な、何にもない空間じゃないですか! ま、まさかここで今から一緒に母音法の訓練……? いやいやいやいや……えっと、じゃあ何? 今日はレオタードもジャージもドレスも持って来てないし……とお馬鹿に混乱していると、中山さんの口から衝撃のお言葉が!
「ここは四季の専用劇場の舞台とほぼ同じ大きさと高さがあるスペースなんですよ。実際に劇場に運ぶ前に、ここである程度装置や道具を組み立てて、不具合等がないか確認してから荷出しをするんです。」
うおう、そ、そうなんですか!
「特に幕なんかは舞台と同じ高さから吊って見ないと分からないことも多いので、大町で食い止められるミスは見逃さないように気を付けてます。」
ふええ……子供の頃から数えきれないくらい四季の舞台を観てきて、裏でこんな作業が行われているなんて想像した事もありませんでした。
劇団四季の舞台の質の高さの裏には大町の倉庫も含め、舞台に関わる全てのスタッフさんの努力と細心の注意があるのだなあ、と実際にがらんとした倉庫を見て、観劇時とはまた違うモードで心が震えたり。
小道具置き場には「クレイジー・フォー・ユー」や「キャッツ」の小道具も!
更に別の場所に移動すると、そこは各作品の小道具が収納されているスペースでした。上の写真は「クレイジー・フォー・ユー」で使われるエベレットのチェアと、劇中で積み上げられる椅子。(「まさかあの’フランス革命’のミュージカルじゃないだろうね。」のシーンで使われるヤツです!) 椅子は1つ1つ劣化の具合も違うので、舞台上で積み上げる前には入念なチェックをしているそうです。
そしてこちらは「キャッツ」で使われる小道具……ですが、まだ汚しがかけられていない素の状態のもの。「キャッツ」は猫の目で見た世界が描かれているので、ゴミ捨て場に置かれる小道具のゴミも、人間の感覚からするとかなり大きめになっています。素の状態のゴミ、これ……ちょっと貴重じゃないですか?
ゴミと言えば、いくつかの倉庫や小道具置き場を見せて頂いて、その綺麗な様子にも驚かされました。釘やビスは勿論、目立つゴミも床にはなく、普段から皆さんが整理整頓を心掛けているのが伝わってきましたよー。
……と言う事で、倉庫の内部を取材させて頂いた訳ですが、本当に劇場の客席にいる時とは違ったモードで感動しました。専用劇場が増え、劇場の舞台機構の中でコンピューターが担う割合が大きくなっても、最後は舞台を支えるスタッフさんの緻密な作業と心意気が華やかな四季の舞台を支えているんだなあ……と。
「素敵な所ですよね。」とガイドが周囲の緑に癒されながら口にすると、笑いながら「それは今の季節だからですよ。冬は雪が深くなって、荷物の出し入れをするのに専用の車を入れて雪をよける事から始めるんですよ。」と中山さん。
確かにこの地の冬はとても厳しそう。そんな中、大型ミュージカルになると、積み込む装置や大道具が全部でトラック40台分にもなる事があると伺い、改めて頭が下がりました。
今後、四季の劇場で舞台を観劇する時は、今まで以上に大道具や装置に注目して、今日の事を……そして舞台を支えるスタッフさん達の事を熱く思い出すのだろうなと、この日は大町市の「四季演劇資料館」と14棟の倉庫を後にしたのでした。
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