早期教育・幼児教育/早期教育

絵の上達にはまず箸の訓練を

おおよそ絵とは思えない、なぐり書きから始まる子どもたちのお絵かきでも親にとっては微笑ましいもの。人物らしきものを描くようになるのは3歳くらいからでしょうか。好き嫌いなのか才能なのか、それ以降から子どもたちの画力に差が出てくるようです。絵の上手い子の特徴は?

小林 サラ

執筆者:小林 サラ

早期教育・幼児教育ガイド

5歳になって急に差が出る人物画

お絵かきって楽しい

お絵かきって楽しい!

1歳くらいから絵らしき点や線を描き始め、成長と共にだんだんと形ができてくる絵の数々は、この時期だけの特有のものですよね。きっともう一生描けないであろう素敵な絵たち。思い出に残したくなるし、実際に残していらっしゃるご家庭も多いことでしょう。

 
1つの節目と言われる、丸い頭から手足が出る人物画を描く3歳期を多くの子どもたちは経ます。4歳までは人物画に大差はあまりないようです。ところが次の節目である5歳以降、観察したものを知っている通りに描こうとする知的な写実期を迎えると、ここで描ける・描けないの大きな分かれ目になります。

発達には個人差が大きいですが、理由をいくつか挙げてみましょう。


子どもの画力の発達差を生む3つの理由

ママといっしょに。

ママといっしょに。

■画力の発達差の理由1:環境
お子さまの描いた絵を、「パパは(ママは)好きなんだー」と思い切り表現していますか? 思わず噴き出してしまうような絵を描くこともありますよね。でも、ケチをつけず、大らかな気持ちで見守りたいもの。

また、「描くって楽しい」という気持ちで、一緒に絵を描く面白さを親子で味わうことも大切です。

絵を描くための道具、紙やクレヨンがいつでも好きな時に手にとって描ける場所に置いてありますか? 絵を描く機会を多く持てる環境だと、おのずと画力も……。

■画力の発達差の理由2:じゅうぶんな外遊び
外遊びをたくさんすることで、子どもたちのクリエイティブ力が育ちます。想像力というものはじっと紙を見つめていて生まれるものではありません。体験してきたことや感じたこと、インプットがあって初めてアウトプットすることができるのです。いろんなものに触れ、社会性が身についていくことで、クリエイティブな力の土台になり、絵を上手に描ける自信につながります。そして色々な人に褒められ、だんだんと絵を描くことが好きになっていくようです

■画力の発達差の理由3:手の発達にいい遊び
そして最後の1つが、「手の発達にいい遊び」です。さて、なぜ手の発達なのでしょうか? 次のページで詳しく説明します。


手の発達と絵の上達の関係

小さな物を集めるとき、1~2歳では小指側の側面でザザーっと集めてきたりしますよね。これは、手の発達が小指から親指に向かって行われるから。3歳に近くなると、親指や人差し指が意志通りに動くようになり、物がつまめるようになります。

手の発達は脳の成長と連動していて、小指や薬指の発達のころは脳のごく中心部分が成長を始めたばかり。親指がよく動くようになるころは、脳の表面側もだんだんと成長してきた証なのです。

つまりそれは、脳の成長が伴わない小さな頃から「上手にやること」「結果がうまくいくこと」を主眼に置くべきではないということでもあります。

筆者主宰の『キッズパワー』では、2歳のレッスンで「つまむ」を学びます。しかしながら、この時期に上手な結果を出すためではなく、「手の力をつける=脳のスペックを大きくしておくこと」を目的にしています。親がどうやったらほどよく子どもの脳と手の力をつけられるかを学ぶためのものなのです。

手が発達すれば脳も活性化され、観察する目の力がついてきます。クレヨンで太い線や細い線、べた塗りなど道具を上手に使えるようになるため、より上手に絵が描けるようになります。絵に限らず、手の発達は良いことづくめとも言えるでしょう。
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