ソウル/ソウルの観光・世界遺産

空港だけじゃない!歴史と最先端が同居する仁川の見所(3ページ目)

ソウルの空の玄関口・仁川(インチョン)で知られる仁川は、正式には仁川広域市と呼び、ソウル・釜山に次いで人口が多い韓国第三の都市です。朝鮮半島の西、黄海に面しており、古くから港湾都市として発展を遂げました。歴史的に日本との結びつきが深いことでも知られています。経済自由特区の仁川では、今、急ピッチで開発が進められており、歴史と最先端が同居する今の仁川の魅力に迫ります。

千葉 千枝子

執筆者:千葉 千枝子

旅行ガイド

月尾公園のシンボル月尾展望台 韓国伝統庭園も

月尾展望台

仁川港が一望の月尾展望台 仁川港は閘門式の港でも知られる

月尾公園のシンボル、高さ23メートルの月尾展望台(ウォルミ・オブザーバトリー)には、カフェもあり、くつろぎながら仁川港や仁川駅、市街を一望することができます。360度のパノラマビューだけに、見ごたえ十分。カフェのウインドウには、世界の都市の方角が、それぞれ記されています。

月尾公園のなかにある韓国伝統庭園にも、ぜひ立ち寄ってみましょう。かつての農民の暮らしを今に伝える家屋や、四季の田畑の光景などが再現されているほか、宮廷庭園があり、宮廷内での生活様式などを見学、体験することができます。入場は無料です。

 

月尾公園

月尾公園にある韓国伝統庭園へはカメラ持参を忘れずに

また、こちらでは韓服を体験着用することもできます(無料)。手持ちのカメラでの撮影を忘れずに。韓流ドラマの主人公になりきりましょう。

このエリアには、ほかにも韓国移民史博物館などがあります。月尾へは、たっぶり時間をおとりになることをおすすめします。月尾公園の営業時間は、5~23時(冬季は22時まで)で、月尾展望台は6時~、韓国伝統庭園は9~20時で、日本語ガイドもいます(事前に要予約)。

 

 

開港場近代歴史文化タウン・中央洞
租界時代を再現した仁川旧日本人街

仁川日本人街

仁川の旧日本人街にはかつての長屋が再現されている

仁川駅から広がる中区の中央洞(チュンアンドン)は、一帯を開港場近代歴史文化タウンと呼び、歴史保存地区として注目のエリアです。ここはかつて、日本人租界があった場所で、多いときには1万人もの日本人が暮らしていました。

仁川で租界が始まったのは、1983年のこと。日本のように長く鎖国状態にあった李王朝に、ときの日本政府が開国を促しました。首都・漢城(今のソウル)の大動脈にあたる仁川港が、釜山港などとともに開港に応じ、韓国で初めて租界が設けられたのです。

 

旧日本第一銀行仁川支店

韓国初の中央銀行としてスタートした旧日本第一銀行仁川支店

租界が始まりすぐに開業したのが、旧日本第一銀行です。第一国立銀行仁川出張所としてスタート、のちに朝鮮銀行の支店となったこの建物は、現在は、仁川開港博物館として後世に歴史を伝えています。丸いドームを擁したルネサンス様式の石造りの近代建築で、日本統治時代で現存する建物のなかでも、もっとも保存状態がよい建築物です。仁川開港博物館は、月曜休館、開館時間は朝9~18時で、入場料は大人1人500ウォン。

この仁川開港博物館には、租界から日本統治の時代にかけての貴重な資料や写真が展示されています。展示は英語とハングルのみで、仁川駅前の仁川市観光協会で日本語解説のレシーバーを借りることができるので、事前に立ち寄ってから行くとよいでしょう。

 

仁川開港博物館

旧日本人租界を再現したスクリーンもある仁川開港博物館(旧日本第一銀行)

郵政や関税のしくみ、鉄道敷設が日本からもたらされ、韓国で初めて営まれた仁川。展示品のなかには、見慣れた赤い郵便ポストも展示されています。また韓国で初めてとなる西洋式ホテル・大佛ホテルが、やはり日本の資本で仁川に誕生しましたが、往時の写真も飾られています。

この開港場近代歴史文化タウンには、旧日本人街の長屋の風情も再現。現在ある仁川市中区庁舎は、ロマネスク様式の建物で、かつて日本人租界の居住者のための領事館として建てられたもので、今も中区庁舎として一部増築など施しつつ、往時の姿を遺しています。また、旧日本第十八銀行、第五十八銀行などナンバー銀行支店もそのままに、再利用されています。ぜひ一度、この開港場近代歴史文化タウンを訪ねてみることをおすすめします。
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