イスタンブール ゲジ公園抗議デモ

ゲジ公園

今は清掃作業が終わり、美しく整備され過ぎた感のある、ゲジ公園全景

2013年6月上旬に日本のテレビをもにぎわしていたイスタンブール・タキシムにあるゲジ公園抗議デモ。旅行予定のある人は、デモ隊と警察との派手な衝突シーンに「トルコに行っても大丈夫なの?」と心配になってしまうのではないかと思います。実際いまのタキシムは、イスタンブールはどうなっているのでしょうか? 観光しても大丈夫なの?…… などなど、ここでは簡単にタキシムで繰り広げられているゲジ公園抗議デモについてお伝えします。

そもそも、ゲジ公園問題とは?

ゲジ公園座り込み

Occupy Wallstreetにならって、Occupy Geziと呼ばれたゲジ公園占拠では、多くの若者がテントを張って座り込みをした

ゲジ公園とは、新市街の中心部、タキシム広場後方に広がる公園のこと。今回の反政府運動は、市がここをデパートや博物館にする開発プロジェクト工事を開始したことに、環境団体のメンバーが座り込みのテントを公園に張り抗議、これに対し警察が強硬に介入したことから始まりました。当初は数人から始まったこの抗議活動、その後警察の暴力的な介入報道や写真がソーシャルメディアで広まると、それまで政府に不満を持っていた多くの市民がサポートのためにゲジ公園に集まり始め、次第に反政府運動としての色を強めて行きました。

というのも、元々現在政権を担っているAKPはイスラム系の保守派政党。AKP以前は主に世俗派がトルコの政権を担ってきただけに、この12年の間にAKPの保守的で強権的、そして無理な都市開発を推し進める姿勢に不満を高めていった人は多かったのです。

タキシム広場

タキシム広場では、それぞれ主張が異なる政治団体が一斉に集まり反政府集会が行われた

さらにこの抗議デモを大きくしたのがエルドアン首相の強気な態度。この運動に参加する若者たちを「チャプルジュ(Capulcu)」……つまり掠奪者、ならず者、負け組と呼び、彼らを貶める発言をしたり「私を支持している50%を、なんとか家にいるようなだめているんだ」(AKPの得票率はおよそ5割)と脅迫するような発言をすることであくまでも対抗姿勢を示したため、さらに運動は大きくなり、環境団体のみならず右派、左派、アタトゥルク主義、イスラム主義、クルド系などなど「アンチ・エルドアン」としてそれぞれ全く別のイデオロギーを持つ組織がゲジ公園で一体となって反政府運動を行う事態となったのです。

そしてイスタンブールのみならず、アンカラ、イズミール、アダナ、ハタイなど多くの地方都市でもゲジ公園抗議活動を支持するデモが繰り広げられ、時にはアメリカやヨーロッパでも在外トルコ人によるサポートデモが行われました。

 

ゲジ公園

警察の介入を除けば、割と楽しそうだったゲジ公園占拠

全国からあつまった警察の暴力に対する非難を受けて警察がタキシムから一時撤退すると、多くの人がゲジ公園に集合、タキシム広場につながる道にバリケードをたててタキシム広場は一時的に反政府デモの人々によって占拠されました。といっても大学生を中心とした若者たちがテントを張り、歌を歌い、ダンスを踊って楽しむ、というウッドストック的な雰囲気があったため、これを報道で見て観光的感覚で集まる市民もどんどん増えていきました。

その後まず6月11日に機動隊が催涙ガスと放水で広場に介入、この時は公園には入りませんでしたが、6月15日にはゲジ公園に介入し、タキシム一帯は完全に警察の手に。しばらくの間公園は清掃作業のため多くの警察官が警備を行う入場禁止区域となっていましたが、7月8日に再開。現在は私服・制服警官が見守る中、抗議デモが起きない限り自由に出入りができる公園となっています。一方、タキシムエリア全体はその後も警察と機動隊、装甲車が常駐している事態のままです。

これまでのところ、観光中の外国人ツーリストが負傷したり拘束されたという報道はありませんが、デモに積極的に参加した外国人留学生やデモを撮影をしていた外国人記者などが負傷したり一時的に拘束される事態は数件起きています。

今のタキシム・イスタンブールは大丈夫?

アヤソフィア

抗議デモの期間を通し、一貫して何の問題もなかったスルタンアフメット広場(7月4日撮影)

観光地としてのイスタンブールは、ゲジ公園抗議活動が最も盛り上がっていた時を含め、タキシムエリア以外の場所では全く問題がありません。抗議活動やデモ、警察の介入などはタキシムだけに限られており、例えば旧市街に位置する観光地区、スルタンアフメットなどでは、通常通り観光を楽しむことができます。

機動隊

抗議デモの呼びかけがあると、人数が増えて広場を通行止めにする機動隊

それではタキシムはどうか?というと、6月15日に警察の介入によって反対運動の人たちが公園から出て行ってからしばらくの間は、週末を中心に抗議活動が繰り広げられてきました。

2015年現在、毎週末デモが起きるというような状況は少なくなりましたが、ゲジ公園抗議デモ記念日や、このデモで亡くなった学生の周忌、メーデー、といった節目ではやはりデモが行われています。タキシム広場は昔から左派系の人々にとってデモの聖地的な役割もあったのです。ただ、ゲジ公園デモがきっかけで政府もデモに対し相当敏感になっており、とりわけタキシムでの取り締まりを強化していることから、最近ではアジア側のカドゥキョイでデモが行われることも増えています。

デモの呼びかけは、たいてい1-2日前にソーシャルメディアを通じて行われます。このデモの呼びかけを見て、機動隊の方もタキシム広場で準備を整えて待ち構えているため、介入が激しくなりがちです。

その日、デモの呼びかけがあるか否かについては、イスタンブール総領事館の治安速報も参考にすることができます。

大規模デモの呼びかけも含めた、イスタンブールの治安速報はこちら>>>在イスタンブール総領事館

海外メディアが引き揚げてから警察の態度も再び強硬さを増してきているため、介入には必ずと言っていいほど催涙ガス、放水(化学的な催涙成分入り)、プラスチック弾が多用されています。多くのデモ隊や取材班はヘルメット・水中メガネ・ガスマスクなどの準備を整えて来ていますが、こうした装備がないとかなり危ない上に苦しい思いをすることにもなりかねません。

このためタキシムエリアの観光はできれば平日行くようにするとか、週末の土日はスルタンアフメットを中心に観光する、という方法もあります。タキシムは、デモが始まり激しさを増した場合、それ以上人が集まらないようバスや地下鉄が全て止められてししまうこともあるため、そうなる前にタキシムから遠ざかることも大切です。

デモに直面してしまったら?

デモと介入

催涙ガスや放水は、近くに居合わせるだけでかなり辛い

デモ隊

デモ参加者は準備万端

仮に知らず知らずのうちにデモに巻き込まれた場合はどうしたらいいでしょうか。基本的には警察の介入はデモの動きが最高潮に達してから始まるため、デモが始まった時点ですぐに逃げるのが鉄則です。仮に観光中にイスティクラル通りがそういう場面になったら、タキシムから遠ざかる、レストランや店舗に逃げ込む(ただし、おおごとになる前にシャッターを下ろす店舗が多い)、ホテルやレストランの中にいた場合は、そこから出ない、デモ隊、特に赤い旗を掲げていたり(左派系)シュプレヒコールを上げているグループがいた場合には、そこから遠く離れる。機動隊は介入前、まず自らが一斉にヘルメットとガスマスクを装着するので、介入のサインは機動隊の装備だと思っておいていいでしょう。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。