2014年末に向けてさらに生産能力を拡大
三江精細化工はさらに生産能力を大幅拡大する見通し
代表的な化学材料であるエチレンの原料はエタンです。エタンは天然ガスから作られます。プロピレンの原料であるプロパンも同様に天然ガスから作られます。同社は2014年末をめどに、エチレンとプロピレンから派生する各種化学製品を展開し、同時にその原料も自社で生産するべく大きな事業投資を計画しています。
エチレンはすでに主要商品ですが、プロピレンは同社にとって初めて進出する製品です。そこで一気に展開するために、プロピレンとその派生製品を生産する浙江美福石油化工有限責任公司の買収を現在計画しています(株主承認待ち)。2014年末にはプロピレンから派生する各種化学製品を展開したい考えです。
そしてエチレン、およびプロピレンの原料を長期的に確保するため、Xingxing New Energe社の権益75%を買収しました。この会社はMTOテクノロジー(Methnanol to Olefin based technology)という技術を有します。この技術によって大元の原料であるメタン(天然ガスの成分)からエチレンおよびプロピレンを自社で製造することができるというものです。国営大手石油・石炭会社もこのMTOプロジェクトを数多く進めています。
MTOテクノロジーを利用できる工場施設を建設
同社も、MTOテクノロジーを利用できる工場施設の建設に向け、すでに2012年10月に着手しました。生産開始は2014年末を見込んでいます。完成すれば年間30万トンのエチレンおよび40万トンのプロピレン、他にも2万3000トンのC4と2万6000トンのC5という化学製品の生産が可能となります。これら全ての生産の原料(1年分)として180万トンのメタンを必要とします。従来はエタンという基礎原料を日本から輸入し、自社でエチレンオキシドのみを作っていました。
この工場は中国浙江省嘉興市の港のすぐ近くにあり、シェールガス革命によって価格の下がっている原料を輸入調達するのに便利です。同社は地元の港湾会社も買収しました。国内のメタノールを調達するには不便な場所ですが、どうやら同社は海外から原料輸入に賭ける意思があるようです。それはまぎれもなくシェールガスと思います。今後、世界最大の産油国になる米国にとって、最大の客となる中国へも波及していくでしょう。
上記の工場建設には約22億人民元が必要で、うち3分の2は負債によって調達し、残り3分の1は自己資金より捻出される予定です。すでに16人民元について年利8%の金利で銀行よりオファーが来ている模様です。
工場が完成すれば、原材料の節約コストは年間9000万人民元になると予想され、他にも輸入関税が2%低下し(従来のエタンに比べ)、そのほか副産物として大量に発生する窒素を有効活用することによって、年間5000万人民元の新たな利益が創出できるとの見込みです。そしてプロピレンという新たな製品やエチレンの派生商品も拡充できます。業績への貢献は2015年からの話となります。
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