被相続人が生前に対策しておくしかない
解決方法は遺言しかない
遺言書は最優先されますので、前ページの例でいえば、BとEに30ずつ、C、D、F、Gに15ずつとすることも可能です。
ここで注意が2点あります。まず相続分の点では遺留分に注意する必要があります(例でいえばBは法定相続分の半分である30を相続する権利が保障されています)。遺留分を下回る遺言では新たな「遺留分の問題」が生じてしまいます。
もう1点は相続税です。Eは相続人ではないため相続税を計算するうえでの基礎控除の恩恵はなく、またEが取得(遺贈)した財産にかかる相続税は2割加算されます。
非嫡出子は認知が前提
非嫡出子に格差があることは前述の通りですが、そもそも非嫡出子は「認知」されていることが前提になります。生前から認知があればよいのですが、これが難しい場合でも「遺言で認知」ができます。もし認知がなく相続が発生した場合でも、3年以内であれば「死後認知」ができ、最近はDNA鑑定で99%以上の確度も可能だそうです。生活スタイルの変化に対応した解決策が課題
年金や健康保険は事実を重視するのですが、生活スタイルが変わってきている現代にあっても、相続においては内縁は認められておりません。また非嫡出子における「相続格差」も、何ら変わらず現在に至ります。なお主要先進国でこの非嫡出子の格差があるのは日本だけです。非嫡出子の相続格差が「法の下の平等」に違憲するかが争われた裁判で、最高裁大法廷は平成25年7月10日、当事者から意見を聞く弁論を開きました。結論は今秋になる予定で、格差がなくなる可能性が出てきました。
とはいえ、現状においてこの問題を解決するには、やはり被相続人が生前から問題意識を持ち、遺言書を作成するといった対策が重要になります。残された家族に財産は残しても、問題は残したくないですね。
※2013年9月5日追記
2013年9月4日、最高裁は非嫡出子(婚外子)の相続格差を「違憲」と決定しました。詳しくは『婚外子の相続格差は「違憲」。民法改正へ』をご参照ください。
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