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『ヴィック・ムニーズ ごみアートの奇跡』(2ページ目)

今回はブラジル映画のご紹介です! シンプルライフに関わりの深い「ごみ」と「アート」がテーマの、とっても元気の出る映画なんです。

金子 由紀子

執筆者:金子 由紀子

シンプルライフガイド

ごみで、アートで、人生を変える

スラム

カタドールたちが暮らすスラム。貧しくとも誇りを持って生きる人々のつつましい暮らしがある。(c)Vik Muniz Studio

多くは、単なる好奇心から制作に関わることになった人々は、「カタドール」と呼ばれる「資源ごみ回収人」。業者の需要に応じて、リサイクル可能な素材をごみの山から拾い集めることをなりわいとしています。親を亡くし、子供の頃からここで働いてきた者もいれば、幼い子供を育てるためにここにやって来た若い女性もいます。明るくたくましく、誇りを持って働く彼らですが、できるならば人生を変えたいと願っている。そんな彼らをアートで変えたいというヴィック。果たして彼らは変わるのでしょうか? 変わるとしたら、どんな風に?


登場人物が全員、魅力的!!

ヴィックとアシスタントは、巨大なごみの山であるジャウジン・グラマーショを見たとき、こう言っています。

「遠くで見ているより、近くで見た方が美しい。あそこでいちばん美しいのは、人間だ」。

マラー

ジャック=ルイ・ダヴィッドによる『マラーの死』をごみで再現。バスタブもごみの中から。(c)Vik Muniz Studio

その通り、この作品でいちばん魅力的なのは、登場するカタドールの面々です。どのカタドールも、生き生きとして表情豊か、力強く、でも繊細で、好きにならずにはいられません。彼らの人生にいつしか感情移入して、泣いたり笑ったり。「ごみをアートにする」というテーマは、実は、「どんな人のどんな人生も変えられるし、美しく変えることができる」なのかもしれません。それは、私たち自身にもあてはまることに違いありません。




日本も変われる?

本作の配給会社であるユナイテッドピープルによると、「配給の狙いには、アートで世界を変える事例を多くの方にご覧いただくことで、より多くのアートを志す方が刺激を受け、ヴィック・ムニーズと同じように、自らの力で、回りの問題を解決するきっかけとしてほしい、という思いがありました。本作はブラジルが舞台ですが、ごみ問題は現代の消費社会を象徴する問題。国内にも存在するごみ問題にも目を向け、日々のライフスタイルを見直すきっかけになれば、という狙いもあります」とのこと。

「環境保護」や「持続可能社会」を考えると同時に、「たとえ厳しい境遇にあっても、カタドールたちのように、その時にできる最良のことをやればいいのだ」と、シンプルに考えさせてくれる、とっても元気の出る映画です。


『ヴィック・ムニーズ ごみアートの奇跡』

カラー、98分 字幕付
監督:ルーシー・ウォーカー 
配給・宣伝:ユナイテッド・ピープル

7月20日より渋谷ユーロスペースにて公開
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