60年代の価値観の変化と不安を映し出した『卒業』


あらすじ

将来を嘱望されるベンジャミンは大学を卒業し帰郷する。賑やかな卒業記念パーティーの席で彼はどこか素直に喜べない自分に気付く。そんな中彼は幼馴染であるエレインの母、ロビンソン夫人に思わぬ誘惑をかけられる。

大学院進学を控えた彼は虚ろな気分を感じつつ婦人と逢瀬を重ねる。元気のない彼を心配した両親の勧めで彼はエレインとデートする。エレインの一途な優しさに驚いた彼だったが、このことを知ったロビンソン夫人に自分との情事を娘にバラすと脅され……。

おすすめの理由

クライマックスの教会でのシーンやサイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」をはじめとする名曲が全編を彩る映画として有名な作品です。

私がこの作品に初めて出会ったのは14か15ぐらいで、ストーリーは理解できても登場人物の心情が全く理解できなかった記憶があります。

次に観たのが大学時代、映画サークルの鑑賞会ででした。この時になると主人公ベンジャミンの感情の揺れや、青春時代特有の充実と不安が入り混じったような心理状態を把握できましたが、作品の云わんとするところの理解まではいきませんでした。

そして今回3度目にして、まあ自分が年を重ねたというのもありますが、ようやく作品の描こうとしたものが掴めた気がします。

映画というジャンルは一般的、典型的なハリウッド映画の様に、一見誰にでも開かれた分かりやすく敷居の低い娯楽としての側面で捉えがちですが、他方作品の時代背景や社会の有り様、その時の人々の価値観や空気感を色濃く反映します。

この作品の背景には、ベトナム戦争が泥沼化する中での人々の旧来の価値観の変容、それに伴う不安感があります。そしてそれがストーリーや登場人物達の少しエキセントリックにも感じられる行動に映し出されています。

故にその文脈、いわゆるアメリカンニューシネマ作品ですが、を読み取ることで、挿入歌の歌詞の意味やラストシーンの暗示などをはじめて深く理解できます。

そこに考えが至り、この作品が名作と名高い所以を今回漸く理解できた気がしました。

■作品名 『卒業(The Graduate)』
■監督 マイク・ニコルズ
■主演 ダスティン・ホフマン、アン・バンクロフト、キャサリン・ロス
■商品データ
・DVD/Blu-ray発売 有
・発売元 ジェネオン・ユニバーサル




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