リスクを減らす工夫 その2: お友達スキルを身につける
お友達つきあいが上手な子はうつになりにくい
■女の子の場合、濃い友情が遺伝リスクをも超える強みになる
双子の研究などからも分かっているように、うつは遺伝する傾向があります。しかし、この研究に参加した女の子で、たとえ遺伝的にうつ病に罹患するリスクが高いとされていても、1人以上仲のいい友人がいる場合は、発症しにくくなるということが分かりました。
つまり、女の子においては、1人の親友の存在が、遺伝のリスクからその子を守ることが期待できるとのこと。これに対し、男の子の場合、友情はうつのリスクを減らす要素ではあったものの、遺伝的なリスクを超えるほどの結果ではありませんでした。
なぜ女の子だけにこのような現象が見られたのでしょう?
研究者達は、この結果を、
「女の子は、自分の存在や評価を友情を通して得る傾向が強く、互いの気持ちを支えあったり、お互いの悩みを打ち明けあったり、共感しあったりする。この女の子特有の友情関係が、この違いを生んだようだ。」
と説明しています。
■男の子の場合、友人の数が強みになる
遺伝要素を抜きにした男女の違いを比較すると、男の子に関しては、友達が多いことが、うつのリスクを減らすのに対し、女の子にはこの傾向は見られなかったそうです。これは、男の子はグループでの友情を好み、女の子は1対1の濃い友情関係を好む傾向があるからではと結論づけています。
■幼少時からの、ソーシャルスキルトレーニング
小学生にまでうつのリスクが下がってきている現代、親はこれまで以上に、子どもの交友関係を気にかけていく必要があります。「なんか今日はいつもと違うな」「最近、学校のことを話さないな」と感じたら、いつも以上に愛情たっぷりで接する心がけをしていくことで、子どもは心を開きやすくなります。子どもからのサインに気づいてあげる親でありたいですね。
そして、幼少時に、お友達と仲良く遊べるスキルを身につけておくことも、とても大事。友達と上手に関われるスキルこそ、大きくなってからのうつのリスクを減らしてくれるものなのです。
お友達遊びを始める1歳半くらいから、積極的に外に出してあげましょう。公園の砂場などで同年代の子と交わる経験こそ、ソーシャルスキルトレーニングの第一歩です。一緒に遊ぶ中で学ぶ、物の貸し借り、順番待ちなどのソーシャルスキルが、やがて、うつから守ってくれる友達の存在を増やしてくれるのです。