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子どものうつ:そのリスクを減らす2つの対策

何となく、うつ病は大人が患うものというイメージがありますが、最近では、子どものうつ病も深刻な問題になってきています。そのリスクを少しでも減らすために親ができることを2つの視点からお伝えします。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

増えている子どものうつ状態

近年、増加傾向にあると言われているうつ病。厚生労働省の調査によれば、日本のうつ病などの気分障害の総患者数は、ここ15年ほどで大きく増加の傾向にあることが分かっています。1996年には43万人だった患者数は、2002年には71万人、2005年には92万人、2008年には104万人と、著しく増加。

子どもも例外ではありません。何となく、うつ病は大人が患うものというイメージがありますが、最近では、子どものうつ病も深刻な問題となってきています。2006年に厚生労働省が行った調査では、中学生の4人に1人がうつ状態という結果まで出ているのです。

親としてはそのリスクを少しでも減らしていきたいもの。ここでは、身近にできる子どものうつ予防策を2つご紹介します。


リスクを減らす工夫 その1:思考パターンをポジティブに

親子のおしゃべりの質がカギ

親子のおしゃべりの質がカギ

うつ病の発症には、その人の持つ思考パターンが大きく影響していることは以前から言われており、欧米では、以前から、うつ病の再発防止に、「認知行動療法(思考パターンをポジティブなものに置き換えていくトレーニング)」が用いられてきました。日本でも最近になって少しずつ取り入れられてきているようです。

私が主宰しているプラス思考育児メソッドも、元々のコンセプトはここから来ています。このメソッドの一番の目的は、ママから子ども達へプラス思考を伝え、毎日の生活を楽しくハッピーにすることですが、もう1つ大きな目的があります。それは、子ども達が困ったときやつらいときに、あきらめずに、前向きにポジティブに乗り越えていける力を身につけてもらうこと。

プラス思考は、うつを発症しにくくなる考え方。よって、ママからもらったプラス思考は、子ども達の気分の落ち込みを防いだり、逆境からの立ち直りを早くしたりする効果があるのです。

ではどうやって、ママから子どもにポジティブさを伝えていくのでしょう? その答えは、ごく身近なところに隠れています。それは普段のおしゃべり。朝起きてから、夜寝るまで、ずっと続く親子の日常会話がその役割を果たしてくれるのです。
  • ママの方から、否定的なことを言わない、ネガティブな会話を避ける。
  • 前向きな見方をし、それを言葉にしていく。
そんな小さな小さな積み重ねが子どもの心に伝わり、うつになりにくいプラス思考が身についていくのです。

思考パターンの急成長期は、0~8歳くらいまで。その時代に、ママが質のいいおしゃべりをしてあげると、うつに強い心にすることができます。(詳しくは、「プラス思考の子育て:ママだから伝えていきたいこと」をご参照ください)

>>次ページでは、最近新たに見出された、子どものうつ病のリスクを減らすファクターについてお伝えします。


■厚生労働省のサイト:
「知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス うつ病」
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