上から順に見ていくと、売上高、当期純利益……「潜在株式調整後当期純利益」?「センザイカブシキチョウセイゴ トウキジュンリエキ」?
舌をかみそうなこの名前。いったい何のことでしょうか?
潜在株式とは、将来増えそうな株式のこと
「潜在株式」について説明する前に、「発行済株式数」について確認していきましょう。「発行済株式数」とは、その会社が過去に発行した株式の数です。例えば、ファナック(6954)であれば、発行済株式数は2億3950万8317株(2013年3月末現在)です。
ちなみに、「発行可能株式総数」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。株式会社では、無尽蔵に株式を発行できるようにすると、既存の株主が不測の損害を受けるかもしれない(希薄化と言います。後で詳しく説明します)ため、発行できる株式数に上限を設けています。
ファナックの「発行可能株式総数」は4億株です。つまりファナックは、4億株まで発行することができるが、実際にはそのうち2億3950万8317株しか発行していない。逆に言えば、あと1億6049万1683株を発行することができます。
また、似たような言葉に「自己株式数」という言葉もあります。自己株式とは、企業が持っている自社の株です。ファナックの場合は、自社株であるファナック株を4379万6678株(2013年3月31日現在)持っています。自社株買いなどにより、企業は自社の株を購入することがあります。
ということは、発行済株式数2億3950万8317株のうち、4379万6678株はファナック自身が所有し、残りの1億9571万1639株は世界各地の投資家が所有しているということです。
では、いよいよ「潜在株式」です。潜在株式とは、将来増える可能性のある株式のことをいいます。
例えば、ストックオプション。ストックオプションとは、企業の役員や従業員が、あらかじめ決められた価格で自分の会社の株を取得することができる権利です。
あなたが上場企業の従業員で、ストックオプションを50株分持っていれば、そのストックオプションを行使することで、自分が勤める上場企業の株を50株購入することができます。このとき、会社は50株を新たに発行する(もしくは保有している自己株式を交付する)ことになります。
今はまだ、ストックオプションを持っているだけなので、株式は取得していません。でも、近い将来、50株を取得するかもしれません。会社側の立場に立てば、近い将来50株を追加で発行するかもしれません。
この近いうちに追加で発行するかもしれない50株が、潜在株式なのです。潜在株式数は50株になります。
この潜在株式数も含めて計算した1株当たり当期純利益が、「潜在株式調整後1株当たり当期純利益」です。したがって、必ず、「1株当たり当期純利益」>「潜在株式調整後1株当たり当期純利益」となります。
また、潜在株式が存在しなければ両者は同額になりますので、このとき決算短信等では「潜在株式調整後1株当たり当期純利益」を「-」と表記します。
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