セキスイハイムは、工業化(プレハブ)住宅を供給するハウスメーカーです。プレハブとは、工場内で部資材を生産するという仕組みのことをいいますが、セキスイハイムの場合はユニット住宅といい、中でもプレハブ化率が非常に高い企業です。その特徴はこちらをご参照ください。

セキスイハイムの技術をタイ工場で再現!

セキスイハイムの海外進出の最大の特徴は、この仕組みをタイに持ち込んだこと。具体的には、住宅生産工場をタイ国内に設置(2011年12月竣工)して事業を行っています。工場は首都・バンコク市内から北約80kmにあり、年間最大1000棟の住宅を生産できる規模。私は今回その工場も見学してきました。

タイ工場の様子

セキスイハイムタイ工場の様子。最新の技術が持ち込まれ、現地スタッフが日本と同様の高い品質と精度を駆使して住宅ユニットの製造にあたっている(クリックすると拡大します)

単に工場や商品を作っただけ、住宅が売れるものではありません。そこで、セキスイハイムは、タイの建材最大手であるSiam Cement Group(サイアム・セメント・グループ)のSCG Building Materials Co.,Ltd(エスシージー・ビルディング・マテリアルズ)と提携して事業を行っています。

具体的には2009年にタイ側との合弁で住宅の生産会社SEKISUI-SCG INDUSTRY CO,LTD (セキスイ・エスシージー・インダストリィ)と、販売会社SCG-SEKISUI SALES CO,LTD. (エスシージー・セキスイ・セールス)を設立。これにより、タイの実情やニーズに合わせた住宅生産を行えるようにしているわけです。

セキスイハイム以外にもいくつかのハウスメーカーが海外進出を行っていますが、いずれもこのような現地のパートナーと提携して事業を行うかたちをとっています。それは、進出先の国々でスムーズに事業を行うことが目的ですし、加えて事業のリスクを減らすということも重要なポイントです。

販売している住宅の名称は「SCG-HEIM」(エスシージー・ハイム、鉄骨系住宅)といい、これまでに150棟の住宅を供給しています。コストダウンや施工・販売体制の整備に一定のメドがついたため、今年度は300棟を計画するなど販売量の拡大を図っていくということです。

さて、日本にあるセキスイハイムの住宅工場では、生産ラインの見学会を積極的に行っています。それは生産ラインを見てもらうことで消費者に品質や施工精度などの信頼性をアピールできるからです。そしてその手法はタイの工場でも採用されており、施主を始めデベロッパー(宅地開発業者)など数多くの人たちが見学しているそうです。

現地スタッフが開発した新商品「ダーウィン」

工場内には、モデルハウス「ダーウィン」も建設され、見学できるようになっていました。日本では一般的な工場・展示場・モデルハウスを見学するというシステム自体がタイにはなく、実際に生産ラインと完成した住宅を同時に見ることができるため、タイの皆さんには非常に強い関心を示しているといいます。

ダーウィン

タイ工場内に建設されたモデルハウス「ダーウィン」。現地スタッフが「自分たちが住みたい家」として開発しており、タイの風習や住文化を反映した建物となっている(クリックすると拡大します)

ところで、タイの住宅の作り方は、かつては木造(チーク材)の高床式住宅が一般的でしたが、現在は鉄筋コンクリート造が主流になっています。ただ、住宅が完成するまでに時間がかかり、長いケースですと1年以上かかることがあるそうです。さらに、足場は竹製で養生シートもなく施工環境も良いとはいえません。

セキスイハイムのユニット住宅は、工事を極力工場で行い、現場作業が少ないため、タイにおいても基礎工事完了以降、最短で約40日、平均60日ほどで建物を完成できるといいます。そうした短工期と施工の安全性が現地では優位性があり、現地の人たちから高い評価を受けているといいます。

モデルハウスの「ダーウィン」は、タイ人スタッフが中心となって開発したタイオリジナルの新商品。坪(3.3平方メートル)単価で20万円台からという、現地スタッフが「こんな家なら住みたい」というイメージをかたちにしたものだそうです。

住宅の世界は最終的には「人」に行き着きます。どんなに技術が優れていても、最終的に住宅を建設するのは人なのですから。それは日本においても同様ですが、セキスイハイムがタイにおいて生産から施工、販売までに至るまで現地スタッフを育成していることが、今回の取材で印象的なことの一つでした。

前編はここまで。後編では、ではセキスイハイムがタイで具体的にどのような住宅を販売しているのかについて書いていこうと思います。

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