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隠れた資源大国・カナダに投資できるファンド

米国発の「シェール革命」が世界のエネルギー地図を塗り替えようとしています。関連して、わが国でもシェール関連株ファンドの設定が相次いでいます。しかし、シェールガスやシェールオイルは米国だけではなく、世界に分布しているのです。資源国といえばオーストラリアが思い浮かびますが、実はカナダが資源大国ということをご存知でしょうか。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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シェール関連株ファンドが設定ラッシュ

野村アセットマネジメント「米国エネルギー革命関連株ファンド」、大和住銀投信投資顧問「北米シェール関連株ファンド」、DIAMアセットマネジメント「DIAMシェール株ファンド」など、シェールガスやシェールオイルの関連企業に投資するファンドの新規設定が相次いでいます。

国際エネルギー機関(IEA)の中間報告では、米国はシェール革命により、2020年までに原油生産でサウジアラビアやロシアを抜いて世界トップに躍り出るとのこと。シェール革命が世界のエネルギー地図を一変させる可能性があり、関連企業に追い風が吹いていることが新規設定ラッシュの要因の一つと考えられます。

ただ、シェールガスやシェールオイルは米国だけにあるのではなく、中国、アルゼンチン、メキシコ、南アフリカ、カナダにも大量の埋蔵量があるといわれています。特にカナダは、米国と陸続きであるばかりではなく、シェールガスと並んで注目されるオイルサンド(原油を含んだ砂岩)の埋蔵量が世界最大級であることが確認されているのです。

豊富な資源に加えて高い成長率を誇るカナダ

原油や天然ガスなどのエネルギー資源が注目されていますが、カナダは世界有数の資源大国であることを忘れてはなりません。いくつか挙げてみると、肥料の原料となるカリウムは世界第1位、アルミニウムは世界第3位、原油とプラチナは世界第4位、ニッケルと天然ガスは世界第5位などと、さまざまな資源の埋蔵量が世界のトップ10を占めているのです(※)。

加えて、カナダの実質GDP成長率は主要7カ国(G7)の平均値1.2%を上回る2.0%となっています(2001年~2011年平均)。さらに、揺るぎない財政の健全性により、ドイツ、イギリス、オーストラリアなどとともに、信用格付けでトリプルA(AAA)を維持している数少ない国の1つでもあるのです。

先進国の中では高い経済成長率、財政の健全性、相対的な高めの政策金利など、カナダに注目する材料はシェール革命以外にもたくさんあるのですが、隣国である米国の影に隠れる形でなかなか陽の目を見ないようです。事実、米国株と比較して、カナダ株は大きく出遅れています。

しかし、カナダ株に直接投資をする機会は限られていることから、個人は投資信託を通じてカナダへ投資するのがよいでしょう。投資信託経由と簡単に述べましたが、実はカナダ株式で運用される投資信託は数本しか設定されていません(債券を含め)。その中でも、2009年2月設定で最も運用履歴が長い、マニュライフ・インベストメンツ・ジャパンが運用する「マニュライフ・カナダ株式ファンド」に注目してみましょう。

運用成績が好調な「マニュライフ・カナダ株式ファンド」

マニュライフ・インベストメンツ・ジャパンは、あまり社名を聞かない運用会社かもしれません。しかし、実はカナダに本社がある「マニュライフ・ファイナンシャルグループ」の運用会社。同社の「マニュライフ・カナダ株式ファンド」は、いわばカナダというホームグランドで運用が行われている投資信託なのです。

2013年5月31日基準のマンスリーレポートによれば、期間別騰落率(分配金込み)は以下の通り。ベンチマークの「S&Pトロント総合指数」をおおむね上回る、良好な運用成績です。
  • 6カ月=25.25%
  • 1年=44.46%
  • 3年=20.22%
  • 設定来=107.62%
当ファンドは四半期ごとに分配金が支払われており、2013年4月の決算期の分配金は1万口当たり1200円。設定来合計では同8200円になります。高額の分配金はうれしい限りですが、複利効果という資金効率を考えると、もう少し少なめでもいいかもしれません。

組入銘柄数を46と絞り込み、上位10銘柄が純資産総額に占める割合は45.3%。カナダの経済成長を牽引する金融とエネルギーの2業種で組入比率は50.3%に上ります。選択と集中、また為替ヘッジが行われていないことから、為替相場が円安/カナダドル高に動いたことも好成績の要因と考えられます。

米国経済やエネルギー価格の影響を受けやすい

シェール革命による資源・エネルギー地図の一変や、新興国の成長を背景としたエネルギー需要の高まりを受けて、今後もカナダは相対的に高い経済成長が期待できそうです。

ただし、カナダ企業は国内よりも海外、中でも経済的につながりの強い米国経済の影響を受けやすい点は見逃すことができません。また、カナダ経済の牽引役である資源・エネルギー関連企業は、世界経済の動向とともに、エネルギー価格の変動を受けて業績も大きく変動する点に注意しておきましょう。

(※)原油と天然ガスは2011年、その他は2010年のデータ。BPおよび米国地質調査所調べ

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