選挙区制と比例代表制
参議院選挙では、選挙区ごとに決められた人数が当選する「選挙区制」と、各党の得票率に応じて議席数が決まる「比例代表制」という2つの選挙制度が実施されます。
まず、「選挙区制」は都道府県ごとに行われます。県の人口によって、一つの選挙区から複数の議員を選出する「中選挙区制」と、一つの選挙区から一人だけ選ぶ「小選挙区制」のどちらかの制度が適用されます。複数当選する場合の当選人数も人口によって大まかな差がつけられており、例えば東京都では5人当選しますが、神奈川県や大阪府は4人、埼玉県や千葉県、愛知県は3人選出されます。
中選挙区制で過半数の議席を獲得するには、同じ党から複数の候補者をたてる必要があります。同じ党であっても、敵味方に分かれて戦うことになり、結果、派閥ができやすくなるという指摘もあります。一方、小選挙区制では1人しか候補者を選べないため、自民党にような巨大政党に有利に働きます。野党はバラバラに戦っていると自民党には勝てないため、各政党が“反自民”で結束。その結果、二大政党になりやすくなるのが特徴です。
ちなみに、二大政党になると、政権交代が起きやすくなります。例えば、2009年の衆議院選挙では民主党が圧勝し、自民党に代わって政権交代しましたが、2012年の選挙では再び自民党に政権が移ります。国民の支持を失えば、次の選挙で負けるという緊張感が生まれるという意味では、政権交代がしばしば起こるのも悪くないという考え方もあります。
とはいえ、選挙区制だけだと、少数政党に不利なため、「比例代表制」も並行して実施します。比例代表に立候補できるのは政党に所属する人だけ。有権者は政党または個人の名前を記入して投票します。開票時に、まず政党ごとの得票数をカウント。その結果に比例して、各党の当選議席数が決まります。さらに、個人名での得票数に応じて、全国で順位付けします。ここで、自分の順位が所属する党の当選議員数に入っていれば、当選確定。これを「非拘束名簿式」と呼びます。
かつての比例代表制では、あらかじめ政党が当選順位を決めて、候補者リストを提出し、有権者が政党名を書いて投票する「拘束名簿式」が実施されていました。しかし、この方法だと、政党は選べても、候補者は選べません。そこで、名簿の順位の決定に有権者に意向が反映できるようにしたのが、非拘束名簿式です。もちろん、この方法にも欠点があり、知名度が高いタレントや組織票を期待できる人を擁立し、その人気頼みになるという弊害も指摘されています。