毎分60個の口コミが投稿され、その総数は1億にも上る
世界中のホテルや観光名所などに関する膨大な口コミが集まったトリップアドバイザー。利用したことがある人も多いはず
世界30カ国、 21カ国語でサイトを運営し、日本語でもこの世界最大の旅行クチコミサイトを提供しています。2013年第1四半期には、全世界で月間2億人の訪問者(ユニークビジター)があり、世界中のオンライントラベルサイトにおけるシェアは11%にもなっています。
同社は旅行代理店ではないので、オンライン上で飛行機チケットやホテルの予約を販売するわけではありません。あくまで口コミサイトとして、ユーザーの旅行体験を投稿する場に過ぎません。世界70万を超えるホテル、 110万を超えるレストラン、26万を超えるアトラクション、12万5000の観光名所についての口コミ情報が寄せられています。泊まる、食べる、見る、に関する毎分60個を超える書き込みがあり、これらユーザーからのレビューや感想の数は合計1億に達するところです。
収入のほとんどは広告収入、口コミ情報の多さが決め手
口コミ情報の数が多くなればなるほど、信頼性が増します。ユーザーは、広告でないこれらの口コミ情報を信頼して旅行プランを立て、実際に訪問します。そして元の情報に偽りがなかったかどうか、自らの感想と評価を投稿します。同社のサイトはFacebookとも連動しており、検索したい場所やホテル、レストラン名を入れるとそれに関するFacebook上の友人の意見や情報も出てきます。このようなサイクルを繰り返すことで口コミ情報の精度は上がり、当サイトを旅行プランに利用しようとするユーザーが増えます。
収入のほとんどは広告なので、優れた無償のサービスを提供すればするほど集客力が増し、サイトへのアクセス数が増すほど広告収入が増えます。例えばある特定の都市における口コミ数の多いホテルをクリックすると、あらかじめ周辺地域にある広告主のディスプレイ広告(バナー広告)が出てきます。そしてこのホテルの料金が、エクスペディア、Hotels.com、楽天トラベル、エイチアイエスなど外部サイト運営者から一覧になって表示されます。そしてその後の予約は直接外部サイトで完結してください、というのが基本姿勢です。
同社は旅行代理店ではないので予約の完結に関心はありませんが、それらのサイトをユーザーがクリックすることで広告収入が入ります。実際に宿泊や食事に行きたい人がピンポイントで検索しに来ているので、それらの検索連動型広告をクリックする率が極めて高いのです。会社は1クリックいくらという形で広告主から報酬を得ます。
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