明らかな相関性が究明されていない中、あまりに神経過敏になるのも問題ですが、取り急ぎ私たちがなるべくシックハウスを避けるために、どんなことを知っていればいいのか、セミナーで報告された内容からピックアップしておきたいと思います。
化学物質の曝露で発現または悪化しやすい疾患例
アレルギー・湿疹/ぜんそく/自己免疫疾患/注意欠陥多動性障害(AH/HD)/抑うつ・双極性障害・パニック障害などの感情障害/依存性障害/自閉症などシックハウスを引き起こしやすい物質として注意を払いたいもの
来日講演したミラー教授
ミラー教授は、「化学物質の曝露が脳に与える明確な科学的証拠は得られていない中ではあるが」と前置きしながらも、女性や妊婦など住まい手個人レベルでも予防策を講じることができるとし、その最大の武器は「鼻」「嗅覚」であるとしています。
妊婦のシックハウスを防ぐ8の予防策
- なるべく屋内や芝生上で殺虫剤や防虫剤を使わない
- なるべく溶剤含有量が低い塗料・ニス・接着剤を使い、これを使用した時にはしばらく家にはいないようにする
- 強力な洗浄剤や消毒剤・漂白剤の代わりに、こすり洗い・石鹸・重曹などを使う
- 香りのあるものより、無香料の洗剤・柔軟剤・化粧品を使う
- スプレーや噴霧式の整髪剤の代わりに、ジェルやクリームなどを使う
- ドライクリーニングは最低限にし、特に乳幼児の衣類は家で石鹸で洗う
- アレルゲンを引き起こしやすいカーペットの代わりに、自然の木や石を使った床に
- 農薬を使った野菜や食品をできるだけ控え、自然食品や着色料を含有しない食生活に
最後に、ミラー教授は「もっとも脆弱な被害者は、妊婦やおなかの中にいる胎児。また5歳児未満の小児は、体の大きさの割には、成人より多くの空気を呼吸している。明確な確証がまだ得られない今は残念ながら、国や政府は積極的には私たちを守ってくれない。発症してからでは遅いのです。あなたや家族や子どもを守りたいのであれば、まず発症を予防する生活スタイルや住環境を、あなた自身が意識していかなければならないのです」と締めくくっています。
日本では千葉大学や東海大学などが中心となって、これからもシックハウスの原因や因果物質の研究をしていくとのこと。シックハウス問題はまだ終わっていないのです。