若き千葉真一の魅力炸裂
■監督太田浩児
■主演
千葉真一
千葉真一扮する若き研究者が「アイアンシャープ」というヒーローとなって、少年たちが偶然見つけた宇宙船の攻撃の手から地球の人々を守る、ヒーローものを軸としたSF特撮映画です。
若き研究者の立花が、研究所で少年たちにモスクワの人工衛星ルーニク二号の映像や模型を
見せるシーンから映画は始まります。
撮影舞台となった研究所は、特撮の舞台では有名な長沢浄水場。メタボリズムの名建築です。
内部のシーンも出てきますが、当時の建築デザインが好きな方にはたまらないカッコよさです。
若い千葉真一は名前通りのシャープさで、動きにもとてもキレがありますが、そういったアクションや、子供向けのヒーローぶりだけを求めて観ると、肩透かしをくらう作品かもしれません。
そういった部分は若干控えめなので……。
アクションだけじゃない、本格的なSF要素や特撮も
この作品の見どころは、なんといっても後半の宇宙船の空中バトルシーンの特撮です。当時の映像は「あ、これは模型だな」「糸で吊ってるな」とすぐわかるものが多い中、
三次元的な動きの宇宙船といい、ジオラマの破壊シーンといい、現代の技術で見ても素晴らしいと
思えます。当時の「ニュー東映」の技術の粋を集めたという感じです。
いや、本当にお見事。
また、宇宙にしかない物質を発見することによって宇宙人の存在を確信したり、エレキバリヤーで
街を守るなどの空想科学要素も、なかなかどうして子供向けとばかりは言えない本格派なのです。
前半に宇宙人の存在を信じない大人たちが、他国の攻撃と勘違いして摩擦を強めるのですが、
それを見た少年たちの
「人間はそうやって仲間内で喧嘩ばっかりして」
「これが宇宙人の作戦なのさ。何にもしないで自滅させるんだ」
というようなセリフが印象的です。