生と死の境目を通って地獄へ一直線
■監督中川信夫
■主演
天知茂・三矢歌子
■DVD発売元
ジェネオンエンタテインメント
数多くの時代劇を監督し、その中でも怪談映画で傑作が多いことから怪談映画の巨匠と呼ばれる中川信夫。その作品の中で最も異色の野心作がこの『地獄』です。
主演は1959年に公開された中川監督作品『東海道四谷怪談』で注目されて以降、大スターとなる天地茂が眉間にシワを寄せながら熱演。閻魔大王を、大御所・嵐寛寿郎がノリノリで演じているのも見物です。音楽には数多くの特撮番組の音楽を担当していることでも有名な渡辺宙明が担当。
仏教系大学に通う学生・清水四郎と、その恩師につきまとう清水の友人・田村。彼の悪魔のような誘惑から逃れようとする四郎だが、運悪く次々と罪を重ねていってしまいます。ジェットコースターのように災難が降り掛かり、次々と死んでいく登場人物。
そして婚約していながら自動車事故で死んでしまった恩師の娘が実は身ごもっていて、子どもは水子となって地獄に落ちていること知った四郎。彼は子どもを助けるべく八大地獄を彷徨います。
観る人を釘付けにする狂気溢れる演出・映像の連続で、不安な気持ちが芽生えてきて、それはやがて恐怖感に……。文学の傑作「ファウスト」と日本の土着文化の科学反応で、観賞後には「とんでもないものを観てしまった」と思うこと確実のカルトホラー映画です。