「最も偉大な映画のヒーロー」に選ばれた、人種差別に立ち向かう弁護士
■作品名アラバマ物語
■監督
ロバート・マリガン
■主演
グレゴリー・ペック、ロバート・デュバル
■DVD/Blu-ray発売元
ジェネオン・ユニバーサル
■おすすめの理由
この映画の舞台となるのは、1930年代のアメリカ南部のアラバマです。
この地で婦女暴行の罪に問われた黒人青年を助ける弁護士アティカス・フィンチ(グレゴリー・ペック)の姿を、彼の幼い娘と息子の目を通して真摯に描いていきます。
当時ここは黒人に対する人種差別がとても激しい地域でした。
アティカスは黒人を弁護することで土地の人々から白い目で見られますが、そんなことはお構いなしに誠実に職務を全うしていきます。
ところが無実の黒人青年は差別の嵐の中で結局有罪になってしまうのです。
さて、ここでこの映画のクライマックスが訪れます。
裁判に負け、アティカスが法廷を去る瞬間、裁判を傍聴していた彼の娘の隣にいた黒人神父が「さあ立ちなさい。君のお父さんが退廷なさる」と起立を促します。
すると2階席に隔離された黒人たちが一斉に立ち上がり、無言のまま敬意を込めてアティカスを見送ったのです。
ここで子供たちは本当の正義とは何かを知り、それを貫いた父のことを誇りに思うのですね。
『ローマの休日』(53)のラストシーンもそうですが、グレゴリー・ペックは何かをこらえながら去っていく姿が実にいいんですよ。
この映画でアメリカの理想的な父親を演じた彼はアカデミー賞の主演男優賞に輝きました。
またアメリカ映画協会は、2003年に「最も偉大な映画のヒーロー」にアティカス・フィンチを選出しています。
アメリカ人が何故今でもこの映画が大好きなのか、本当の正義とは何なのかを、ぜひ確かめてみてください。