友人になりすまして、財産と婚約者を手に入れようとするサスペンス映画
『太陽がいっぱい』
■監督ルネ・クレマン
■主演
アラン・ドロン
■DVD販売元
パイオニアLDC
1960年、ルネ・クレマン監督によるサスペンス映画として、あまりにも有名なのがフランスとイタリアの合作映画「太陽がいっぱい」です。
主役は、映画界で美男・美女が競い合うなか、「世紀の二枚目」と呼ばれていたフランスの映画俳優、アラン・ドロン。
フランスのみならず、世界的に「美男子」と言えば、アラン・ドロンと言われていた彼の代表作として大ヒットしたのが、この「太陽がいっぱい」(Plein Soleil)です。
■あらすじ
親のお金で遊び回っている友人・フィリップ(モーリス・ロネ)を、彼の父親の頼みで親元に連れ戻すために会ったトム(アラン・ドロン)。
彼はお金目当てに、フィリップと行動を共にするが、美しい婚約者や、貧乏な自分に対して見せる、傲慢で傍若無人な態度に次第に憎しみを感じるように。
さらにクルージング中に小さなボートに置き去りにされ、全身に火傷をしたことで、トムの心に復讐の火が燃え上がる。
そして、ヨットの上でフィリップを殺して海に捨てて、フィリップになりすまし、財産と婚約者を手に入れようとするが……
■おすすめの理由
ラストは、ニーノ・ロータの切なくも美しいメロディーが流れ、太陽が輝く青い海が広がります。
アラン・ドロンの陰りのある美貌と、時折見せる、獲物を狙うような貪欲な目、復讐の炎が揺らめいている暗い眼差し、引き締まった身体が、とても魅力的で、観る人を魅了します。
残酷で、美しくて、切なくて、哀しい……そんなやるせなさも残る、衝撃的なラストシーンの演出は、
今観ても新鮮。
さらに、本当はフィリップは、美貌のトムに同性ながらも愛情を感じていて、蔑んだりいじめたりして
快感を感じていたのでは……と感じさせるシーンも。
フィリップとトムの男性二人の濃厚な手と手や、視線の絡み合いの演出も、強烈な印象を
与えています。
美しくもギラギラとした野望を抱えた殺人者、アラン・ドロン。
全てを手中に収めたかのように見えただけに、最後は切なさを感じてしまいます。
一度観たら、音楽とともに絶対に忘れられないほど様々な場面が脳裏に焼きつく映画だと
思います。