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愛すべき女性に出会うためのまわり道「スリ」

まだ歳若いスリ、ミシェルが、「まわり道」を経たあげく、留置場でほんとうに愛すべき女性に出会うという話です。本作は役者の顔よりも「手」が主役で、監督はスリの華麗な手さばきを美しく撮ることを大切にしました。電車内でスリをするシーンやミシェルの手のクローズアップシーンなどは、少なくとも誰もが息を呑むこと間違いなし。

投稿記事

スリの華麗な手さばきを美しく魅せる

■作品タイトル
スリ
■監督
ロベール・ブレッソン
■主演
マルタン・ラサール
■DVD発売元
紀伊國屋書店

ごくシンプルにまとめてしまえば、まだ歳若いスリ、ミシェルが、「まわり道」を経たあげく、留置場でほんとうに愛すべき女性に出会うという話です。この「まわり道」というのが厄介者で、ミシェルは「スリ家業」を愛したばかりに幾多のトラブルに巻き込まれるわけです。
それで自分にとって大切な人に気づくのが遅くなる。

ブレッソン監督自身にとってはどうかというと、おそらくこの「まわり道」こそが最重要事項だったはずです。ストーリーは二の次。
「スリの華麗な手さばきを、いかに美しく撮るか。」
それこそが監督のまず解決すべき問題でした。それは本作を観ればすぐにわかります。

ロベール・ブレッソンの映画は、「渋い」の一言に尽きます。
悪く言えば「地味」とも言い換えられます。
思うに、この監督の作品は好き・嫌いがはっきりと分かれる監督ではないでしょうか。

けれども、電車内でスリをするシーンや、ミシェルの手のクローズアップシーンなどは、
少なくとも誰もが息を呑むこと間違いなし。
そう、本作は「手」が主役なのです。ブレッソンは、素人役者を作品ごとに起用することで有名ですが、本作の場合とくに、「顔よりも手が命」、です。私自身、俳優の顔はまったく覚えていないのに、
ミシェルの手だけがやけに鮮明に記憶に残っているくらいです。

「渋い」ついでに書くと、本作では、フランスで活躍したバロック音楽の作曲家リュリの音楽が
使われています。



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