覚えていない人妻は男に会ったことがあるのか?
■作品名去年マリエンバードで
■監督
アラン・レネ
■主演
デルフィーヌ・セイリング
■DVD/Blu-ray発売元
ジェネオン・ユニバーサル
1964年(日本)公開のフランスとイタリアの合作映画です。
分類分けとしては恋愛映画?だと思うのですが、映像、セリフ、演技など、
全てこの世の物と思えない感じなので、こちらの投稿にしました。
非常に単純そうで複雑な?感じで……それも凄い印象的な白黒映画です。
私は、単純にシャネルの手がけた衣装が見たくて見ましたが、終わりのない迷路にはまり、
強烈な印象だけが残っています。
始まりは、人妻(デルフィーヌ・セイリング)に有る男が、去年マリエンバードでお会いしましたよね……と声をかけます。しかし、彼女は覚えていないと……
この段階で、私も人妻と同じ不思議な感じになります。
有る男は、マリエンバードでの出来事を人妻に言い、その時の約束を告白。
段々と記憶が曖昧になる人妻。
この時も、人妻と初めて映画を見た私の記憶の条件がシンクロし合うので、同じ気持になります。
そう言えば逢ったのかしら?とか
彼女の夫も、意外な形で絡みます。
書くと簡単ですが、この映画を見ていると、突然何かが始まったり、
クルリと場面が変わるので、映画の中の迷路に迷い込む感じです。
実際、演技する方も迷路に迷い込んでいると思います。
映像のどれもが印象的な色々な美で表現されています。
動かない美、その逆で動く美、コントラストの美、どのショットを取っても、芸術になり、
何か?ブランド物のCMに使えそうなイメージです。
あり得ないポーズを取るデルフィーヌ・セイリング。
彼女の衣装はココシャネルがデザインしました。
貴族の排他的世界を思わせる背景が、我々にミステリーさを増長させます。
とてもヨーロッパらしい60年代の代表作だと思います。
たった一言で、酔わせる男も凄いですね……
知らなかったのですが、脚本・台詞担当のアラン・ロブ=グリエ氏は、黒澤明監督の「羅生門」に
触発され、芥川龍之介の「藪の中」を下敷きにした作品の一つと言っているようです。
ベースが日本人のソースとは、ビックリしました。
アラン・レネ監督の、1961年ヴェネツィア国際映画金獅子賞受賞作品です。