懐かしさと温かさがあふれるサウンドのバンド
■バンド名キンモクセイ
「昭和の香り」が濃厚なポピュラーミュージックのバンドです。見た目はどこにでもいてそうな素朴な雰囲気がただようメンバーですが、楽器に向かうと表情がりりしくなるというギャップにも魅せられました。私はキンモクセイのメンバーとほぼ同世代ですが、平成にこんな懐かしい雰囲気の曲が流行ったことが嬉しかったです。
懐かしさが特に感じられる曲は「車線変更25時」です。
イギリスのバンド「Bee Gees」の「Stayin' Alive」のようなノリノリのディスコティック調のサウンドに哀愁の漂う歌詞には、気持ちが踊ってうきうきしたものです。
そしてプロモーションビデオでのボーカル・伊藤俊吾さんのダンスには驚愕!
雨にうたれて踊る姿のあまりのダサさに思わず笑ってしまいました。もちろんこれは狙ったものだと思いますが、ここまでダサいレベルは非常に斬新です。ちなみに、歌詞にはメンバーの地元・神奈川県を通る国道の名前が入っています。
思い出の曲と言えば、彼らの最大のヒットシングルとなった「二人のアカボシ」です。
この曲が流行っているころ、母が命を落としそうになり入院していました。
入院していた病院からは高速道路が見えるので、「二人のアカボシ」のサビを聴くたびに母が病院に運び込まれたときのことを思い出し、涙が止まらなくなって困った記憶があります。
純粋に好きな曲なのでマキシシングルを買ったのですが、母は無事退院したのにいまだにこの曲だけは平常心で聴くことができません。インスタントラーメンのパッケージをモチーフにしたジャケットも粋だなあと感心するのですが、いざCDをかけると涙腺がゆるみます。プロモーションビデオには、恋人との別離に涙を流しながらラーメンと食べる女性が登場しますが、私はこのシチュエーションとは関係なく涙が出てしまいます。
2008年に活動を休止し、本格的な再開には至っていません。2011年の東日本大震災後に再結成しましたが、残念ながら期間限定の活動でした。また懐かしさと温かさがあふれる彼らのサウンドを聴きたいものです。