個人年金保険における年金の受け取り方
「確定年金」「終身年金」と聞いて、どんな年金の種類を思い浮かべますか? この2つは、個人年金保険における年金の受け取り方を表しています。それぞれのメリットとデメリット、選び方のポイントをお話ししましょう。確定年金は積み立てた保険料+αを確実に受け取れる
確定年金は、年金を受け取れる期間が一定期間(5年・10年・15年など)と「確定」していることから、こう呼ばれています。年金を受け取っている間に死亡すると、遺族が、残りの期間に対応する年金または一時金を受け取れます。つまり、積み立てた保険料を上回る年金を確実に受け取れるということです。利用法はいくつかあります。例えば60歳から65歳までの5年間を受取期間にして、公的年金が少ない、あるいはもらえない期間の生活費の一部にする方法。受取期間を10年または15年にして、65歳から75歳(または80歳)までの公的年金を補う利用法も考えられます。また、70歳までは仕事で収入が得られるでしょうから、受け取りは70歳から10年(または15年)にしてセカンドライフの後半の年金を厚くする利用方法も。
確定年金のデメリットは、受取期間が過ぎると年金が途切れてしまうこと。ですが、保険料はこれから説明する終身年金よりは安くなります。
終身年金は確定年金に比べてモトを取りにくい
終身年金は、年金受取をスタートしてから死亡するまで年金が受け取れることから、こう呼ばれています。年金受取スタート直後に死亡してしまうと、全くの「掛け損」になってしまうことから、保証期間(10年が多い)が設けられているのが一般的です。これを保証期間付終身年金と呼びます。保証期間中に死亡してしまうと、残りの保証期間に対応する年金または一時金は、遺族が受け取ることになります。保証期間が過ぎた後に死亡した場合は、遺族も年金または一時金を受け取ることはできません。
メリットは死亡するまで一生涯にわたって、公的年金にプラスして年金が受け取れること。ですが、保険料は確定年金に比べて、相当高くなります。また、モト(元本)取るには25年くらいかかります。シミュレーションしてみました。
終身年金は保険料が高いので、確定年金を選ぶのが賢明
日本の長寿化はまだ進みそうで、90歳超えは当たり前、100歳超も視野に入れるべき世の中になりつつあります。一方、公的年金はさらなる支給開始年齢の繰り下げや支給額の減額が取沙汰されそうで、不安は増すばかり。不安を少しでも軽くするには、自助努力による自分年金作りが大切です。筆者は、老後資金が心配だからという理由で、若いうちから個人年金保険を利用するのはすすめていません。個人年金保険の保険料は固定費として将来の家計を圧迫する可能性がありますし、中途解約は不利なので急な支出が必要になったときに困るからです。
それでも個人年金保険に加入したい場合、確定年金と終身年金のどちらを選べばいいでしょうか?
長生きリスクに備えるなら終身年金が安心ですが、保険料は相当高くなります。日本人が長生きする可能性は高いので、保険会社は高い保険料を設定しないと保険事業の運営に支障が生じるからです。その点、確定年金は年金を支払う期間が確定しているので、その間のリスクを見込めばよく、終身年金に比べて割安な保険料を設定できるのです。
どのくらい保険料の差があり、モト(元本)を取るまでどれくらいの時間がかかるかを、下記でシミュレーションしてみました。保険料例は生命保険文化センターの「ねんきんガイド」からお借りしました。加入条件は、30歳男性、60歳年金受取開始、基本年金額100万円、5年ごと利差配当タイプ、口座月払いです。
■10年確定年金の保険料
- 保険料 約2万7000円
- 保険料払込総額 約972万円
- 年金受取総額 1000万円(60~70歳の10年間・基本年金のみ)
- 保険料 約7万1000円
- 保険料払込総額 約2556万円
- 保証期間の年金受取総額 1000万円(60~70歳の10年間・基本年金のみ)
終身年金の基本年金額を50万円や30万円に下げて(保険料も下がる)加入するという考え方もありますが、確定年金を選ぶのが賢明だと思います。なお、保証期間付終身年金の取扱いをしていない会社もあります。
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