個人年金/個人年金保険の基礎を学ぼう

流動性に難ありの個人年金保険

長寿大国の我が国 日本では、老後の時間が長くなっています。一方で、老後の生活費のベースとなる公的年金制度の先行きは不透明感が増すばかり。そんな老後不安から、個人年金保険に入ろうとする若年世代が増えているそうです。でも、ちょっと待って! 若いうちから個人年金保険に入るのは、あまりおすすめできません。その理由は、流動性がないことと貯蓄商品として有利ではないことです。詳しく見ていきましょう。

執筆者:小川 千尋

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老後が心配なのはわかるけれど……

個人年金保険だけが老後資金を作る方法ではない。

個人年金保険だけが老後資金を作る方法ではない。

個人年金保険は、その名の通り、老後に年金を受け取る保険。老後資金を作ることを目的とした商品です。老後の生活費が心配なあまり、若いうちに加入する人が増えているようです。確かに、寿命の延びに伴って老後が長くなっているのに、将来の公的年金はアテにならないかも……となると、若い人ほど老後に対する危機意識が高いのはムリもありません。自助努力で個人年金保険に入って備えようと考えるのも理解できます。

でも、20~30代の若い世代には、個人年金保険はあまりおすすめできません。その理由は大きく2つ。それは、個人年金保険のデメリットでもあります。

個人年金保険のデメリット「流動性がない」

1つ目の理由は流動性がないことです。個人年金保険に加入すると、60歳や65歳までなど、長期にわたって保険料を払い続けることになります。保険は途中で解約すると、時期によっては元本割れするので、すぐにお金が必要になったときに対応できません。

若い世代は子育て資金や住宅資金の方が優先度は高いので、こちらの資金と何にでも使えるお金を貯めるのが先決です。それに、子どもの成長に伴って家計費は自然増になりますし、リストラで家計を引き締めなくてはいけなくなるかもしれません。そういう事態になったとき、固定費である個人年金保険の保険料が重荷になることがあるのです。ですから将来、重荷になりそうな固定費を作るのは避けた方が無難です。

個人年金保険は
貯蓄性の商品としては有利ではない

2つ目の理由は、貯蓄性の商品として決して有利ではないことです。保険の貯蓄性の有利・不利は予定利率である程度の判断ができます。予定利率は保険料の運用保証利回りで、これが高いと貯蓄性の点で有利、低いと不利と判断します。長引く低金利の影響で予定利率は低い水準で停滞したままです。老後資金を作れる商品は積立定期や定期預金など、他にもあるので、それらと比較すると、わざわざ個人年金保険を利用する理由はないと言えるでしょう。

ただ、何が何でもダメ、ということではありません。

積み立てが苦手な人には個人年金保険はいいかも?!

個人年金保険のメリットは、最後まで保険料を積み立てれば老後資金が確実に作れること、そして貯蓄性は有利とは言えなくても、受け取る年金総額は元本を上回ることです。それに、保険だと中途解約は不利という意識が働いて、解約がしにくいのもメリットと言えるでしょう。

ですから、積み立てでお金を貯めているとつい引き出してしまった経験がある人や、絶対に途中で使ってしまうという、積み立てが苦手な人には個人年金保険での積み立てはいいかもしれません。

ただ、将来的な家計を鑑みて、月5000円や1万円など、中途解約しないですむと思われる保険料で積み立てるのがポイント。可能であれば、毎月払っているつもりで1年間の保険料を貯めて年払いにするといいでしょう。すると、貯蓄性を少しよくできます。個人年金保険は月々の保険料から将来の年金額が決まる「保険料建て」という契約ができます。

なお、個人年金保険に加入したからと老後資金は安心と思い込まないで。教育資金と住宅資金にメドがついたら、意識して老後資金用の貯蓄をしましょう。特に、40代後半から50代にかけては老後資金の貯蓄にラストスパートをかける時期だということを忘れないでいてください。


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