近年、日本の少子化が大きな問題になっています。厚生労働省の人口動態統計(概数)によると、2011年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に出産する子どもの推計値)は前年横ばいの1.39でした。

一方、出生数は105万698人(前年比2万606人減)と過去最少。出生率が変わらないのに出生数が減ったのは「出生率の母数となる女性の数が減少しているため」と厚労省は見ています。

厚労省の分析は主として、少子化を女性の側の問題と捉えているようですが「子づくり」が男女の共同作業である以上、パートナーである男性の問題として考えることも重要でしょう。

特に、ED(勃起不全、勃起障害)による不妊症は、子どもがほしい若いカップルにとって見過ごすことのできない問題です。それだけに、ED治療は少子化対策にもなり得るはずです。


男性不妊原因の上位占めるED 

男性が関係する不妊症にはさまざまな原因があります。最も多いのは、精子をつくる機能が損なわれる「特発性造精機能障害」で、男性不妊症原因の半数近くといわれています。

この他にも「閉塞性無精子症」「精路閉鎖」「精索静脈瘤」など、おおむね精子そのものや、その流れに関わる障害が原因となっていますが、EDによる不妊症も少なくありません。

例えば、男性不妊治療で定評のある東邦大学医療センター大森病院リプロダクションセンター(泌尿器部門)では、EDが男性不妊原因の第2位を占めています。その他の医療機関でも、そのような傾向を示していることでしょう。

自然な妊娠の第一歩は膣内への射精行為ですが、肝心の行為を完結できないEDは子どもを望む若いカップルにとって深刻な問題なのです。


子どもを望む女性の悩み、浮き彫りに

性交がうまくいかないことでパートナーとの関係にひびが入ることを悩む女性は多い

性交がうまくいかないことでパートナーとの関係にひびが入ることを悩む女性は多い

同病院は1999年に日本初の女性性機能外来を開いています。その名のとおり、女性の性機能障害やED治療に伴う女性の側の問題に対応するのが狙いです。

同病院がまとめた「女性性機能外来の現状」という報告書によると、この外来を訪れた女性たちの悩みは、

  1. 男性のED
  2. 男性の膣内射精障害
  3. 男性が性交の試みなし

――という3点に集約されたそうです。最も多い訴えはEDに関するものでした。女性専門外来でありながら、彼女たちの悩みはパートナーのEDであることが浮き彫りになったのです。

同報告書は「結婚して間もない若い世代ほどEDの悩みが深刻」としており、結婚してから1度も性行為のない「未完成婚」の例を挙げています。性交がうまくいかないことでパートナーとの関係にひびが入ったり、離婚に発展してしまったりすることもあります。


子づくりプレッシャーがEDを招くことも

子供を望む周囲からの強い期待がプレッシャーとなってEDを招くことも

子供を望む周囲からの強い期待がプレッシャーとなってEDを招くことも

実際、若い年代のカップルでは、EDが離婚の大きな原因になることもあるようです。EDになる男性には、それなりの理由があるのですが、それを「愛情がないため」と短絡的に考える若い女性が少なくないからです。

特別な病気があるわけでもないのに、ちょっとしたことで勃起が妨げられることは決して珍しいことではありません。そのことでパートナーの男性をせめるのは逆効果。女性にはその点を理解していただきたいと思います。

また、EDが原因で不妊症に陥る場合と「似て非なる」ケースとして、子づくりに対するプレッシャーがパートナーとの性的なコミュニケーションを損ねる結果、EDを招くことがあります。

子どもがほしいあまり、それだけが目的のようになって「妻から今日が排卵日と告げられただけで勃たなくなる」という人や「子どもをつくらなければという義務感を抱いた途端に萎えてしまった」という人もいます。


ED治療薬を服用しても子づくりに影響なし

このように、EDはパートナーとの性生活ばかりでなく、性自身が活力をなくしたり、自信を失ったりするという形で社会生活全般に影を落とすことがあります。

子どもを望む若いカップルを悩ませるEDは心理的な原因によるものが多いようです。特に、過去にうまく勃起できなかったことによるトラウマや仕事上の悩みなどが原因であれば、シアリス、バイアグラ、レビトラなどのED治療薬が効果的です。

これらのED治療薬を服用したうえで子づくりに臨んだとしても問題はありません。精子の遺伝子への影響などは動物実験でも報告されていないので、安心して使えます。

専門医や専門機関の診察を受けて適切に用いれば大きな効果が得られるはずです。ED治療薬の力を借りて妊娠にまでこぎつけられれば、日本の少子化解消に貢献できるかもしれません。

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