血糖値を知れば予測力は上がる
2型糖尿病患者はインスリン導入を嫌がらずに、早めにインスリンと血糖測定器を保険適用で入手することです。本当に血糖管理が楽になりますよ。
食事と運動、血糖降下薬の三つ巴の中で、食事がどのように血糖値に影響するかを予測できるといいですね。しかし、それは自分で実際にやってみないと分かりません。経験の積み重ねで予測力がアップします。
一般に血糖自己測定というと、一日に何回も血糖測定をしながらインスリン投与量を調整していくことをイメージしますが、インスリン治療でなくても料理によってどの位血糖値が上がるかを知るために使うのにも便利です。
スポット的に血糖測定をしても血糖マネージメントのコツがつかめますし、食事療法を変える時(例えば、いま話題の低糖質食に切り換えた時など)、血糖値を測ることで安全を確保しながら効果や傾向をつかむことができます。また、新しい薬の導入や従来の薬をやめた時なども血糖測定を増やすと安心です。でも、せっかく、めんどうな血糖測定をするのですから、プロトコルにのっとった食物と血糖値の正しい計測法を守りましょう。
糖尿病自己管理に! 食物と血糖値の正しい計測法
■ プロトコル食物と血糖値に十分に気配りできる日を選ぶこと。2週間にわたって、毎週4~5日、ウイークデーの日常的な食事と、週末の好きな料理を楽しむ食事とに分けて血糖測定を行うようにします。血糖値の変化を見るために必ず食事の前と後に測定すること。必ずしも一日の血糖値をトレースする必要はありませんから、気になる食事の血糖値への影響にポイントを絞ります。
用意する物・準備
- 指先を清潔にして乾かしておくこと
- 穿刺器とランセット
- 血糖テストセンサー
- 血糖測定器
- ログブック(ノートあるいはデジタル)
- 早朝空腹時血糖を測定し、記録する
- 食事の直前に測定し、時刻と数値を記録
- 食べ始めた時からカウントして、1時間後または2時間後に血糖測定をして、その時刻と血糖値を記録
- 何をどのくらい食べたか、食事の炭水化物(糖質)のグラム単位の含有量も記録
- 食物以外の血糖値に影響を及ぼす要因(エクササイズ、薬、病気、ストレスなど)も残らず記録
- ベッドタイムの血糖値を測定し、記録する
- 食事は少なくとも4時間以上の間隔を空けること。また、その間にスナック(一時の腹ふさぎに何かを食べる)などを取らないようにする。ただし、インスリン治療の人が低血糖になった場合は通常の補糖を行うこと
日本糖尿病学会の指針によると、合併症予防のためのA1C目標は7%未満(NGSP)で、空腹時血糖値は130mg/dl未満、食後2時間血糖値は180mg/dl未満となっています。当然ながら患者によってはもっと低い数値が目標として課されていると思います。もし、血糖測定をしてみて、たびたびこれらの目標値を大きくオーバーしているなら改善しなくてはなりません。
■ 料理の内容と量の見直しを!
糖尿病でも大好きな料理をあきらめることはありません。少し食べる量を減らして、ヘルシーな野菜や果物を増やします。米飯やパンなどもなるべく精白度の低いものに切り換えましょう。1週間でも2週間でも、カロリーと炭水化物(糖質)摂取量をできるだけ正確にカウントしてみると、かなり食べ過ぎていたことが分かると思います。
食物繊維の多い食事は食後の血糖上昇を抑えてくれます。食物繊維は穀物、豆類、野菜/果物から平均的に取ると胃腸の負担が軽くなります。
■ 薬の種類と処方量の調整が必要なこともあります
もし、起床時の空腹時血糖値や食前血糖値が高いのなら、血糖降下薬の服用あるいは調整の必要を示していることがあります。食事の間隔が4時間もあれば、インスリンや経口薬が血糖値を正常レベルに下げることができると考えられるからです。
早朝空腹時血糖値は基礎インスリンがカバーしています。食前血糖値が高い場合の修正法は当記事でもスライディングスケールで解説してあります。担当医とよく相談して対応してください。
食後に行う30分のウォーキングが驚くほど食後血糖値の安定に役立ちます。
血糖コントロールができるようになれば、野菜や果物、魚などを主にしたヘルシー食の実現に目標を高くしましょう。低糖質食は素人だってできるんですから! 血糖測定器セットは担当医に相談するように!