リフォームについては「積算資料ポケット版リフォーム編」が毎年発行されており、実は私も日頃から見積り金額のチェックや概算費用の調査に活用しております。
先日、その調査出版に携わる方々のお話を聞く機会がありました。その中には安心・確実なリフォームをするためのヒントがありましたので、ご紹介させていただきます(今回の取材では、今後の積算データの調査に支障をきたすことの無いよう、担当者のお名前はイニシャルでのご紹介としております)。
リフォーム見積りを知る「積算資料」
今回お話をお聞かせいただいたのは「積算資料ポケット版リフォーム編」の発行元である、一般財団法人経済調査会住宅情報事業部の皆様。毎月業者の工事価格を調査し、市況をヒアリングし、資料に掲載するデータを積み上げていくのだそうです。「積算資料ポケット版リフォーム編」をご覧になったことが無い方のために少し補足説明いたしますが、この本は一般的な住宅のリフォームで実施される数多くの工事内容について、見積り書に記載される内訳項目とその単価がずらりと並んでおり、工事業者がリフォームの見積りをする場合の、それこそ「積算資料」として活用されることが多いので、この本の読み方を理解すれば、工事の適正価格や相場を把握し、安心なリフォームの手助けになると思います。
きちんと疑う、きちんと向き合う
「日本人は古くから見積り書を疑うという習慣があまりなかったんです」。こう話してくれたのはTさん。特に高齢者に多く見受けられる傾向として、見積りについて質問すると業者の機嫌を損ねてしまうのではないか、あるいは値引きを強制すると手抜き工事をされるのではないか、という不安から、納得ができない金額であってもそのまま発注してしまうというケースがありました(今も残念ながらあります)。「『リフォームトラブルを防ぐために、見積り書をもらって内訳をチェック』とこれだけ呼びかけていても、『○○工事一式 ○○円』としか記載していない見積り書を提示する業者はいまだにいます」(Tさん)とのこと。これでは「見積り」というよりも「メモ」です。ですが、リフォームというものを初めて体験される方の中には「リフォームって、こういうものなんだ」と思い込んでしまい、業者を疑うことを忘れてしまう場合もあるのです。
数量が合わない見積りを除外する
リフォームに慣れていない一般の方が複数の業者から見積りをもらった場合(相見積り)、どうしても「300万円のA社」「320万円のB社」「280万円のC社」の中から、最安値のC社を選ぶ傾向にあります。しかし、必ずしもそれが成功とならないことが多いのもリフォームです。Tさんは「見積り書を比較した時に、数量が著しく合わない業者は外すべき」と言います。複数社の見積り内訳をチェックしていけば、極端に数量が合わない業者は計算ミスをしているか、施主が求めている施工とは異なる見積りをしている可能性が高い訳です。また、数量をチェックするということは、リフォームにおいて非常に重要であり、施工範囲が明確になり、工事後の施工トラブルを未然に防ぐことにもつながるのです。
次のページでは、リフォーム見積りを評価する上での重要ポイントについてご紹介します。