リフォーム費用/リフォームコストダウンのコツ

リフォームの値引き交渉は慎重に 業者が語る値引きしたくない施主

少しでもリフォーム費用を安くしたい、そんな気持ちが空回りしてせっかくもう少しで値引きしてもらえそうなのに、自らの行為で台無しにしてしまう施主がいます。今回はリフォーム業者の方々にそんな「値引きしたくなくなる施主」についてお話を伺いました。

大野 光政

執筆者:大野 光政

リフォームにかかるお金ガイド

リフォームの値引き交渉、業者はどう思ってる?

限られた予算の中でできるだけのリフォームを実現させたいと思うのは当然なことなのですが、工事業者に対して無理に値引きを強制すると、リフォーム範囲が狭められたり、手抜き工事につながりそうで心配ですね。

でもやっぱり安く抑えたいのであれこれ悩むのですが、その中でいささか「問題あり」な対応をしてしまう施主も少なくありません。そのため、せっかく値引いてもらえそうな工事でも、業者の方から離れて行ってしまうようなケースがあるのです。

今回はリフォーム業者に「値引きしたくなくなる困った施主」について本音を聞いてみました。心当たりのある方は早めに改善しておきましょう。
   

予算と現実の差がありすぎるのにリフォームの計画を変更しない施主

リフォームの値引きを失敗させる施主とは

リフォーム計画が大きければ大きいだけ費用はかかります。大幅な金額カットのためには内容の変更も仕方がないことなのです。

金額の張るリフォームではどうしても予算に対して慎重になるのは理解できます。しかし度を過ぎた予算重視の姿勢は、業者の不信感を招き、値引きの話すらできないまま終わってしまうものです。

・「予算200万円に対し、施主の要望するリフォームの見積りでは370万円以上するのに、リフォーム範囲を削るどころかむしろ増やそうとしてきて、さらに値下げを要求してくる。」(業歴19年大工)

・「浴室のリフォームを希望する施主に約130万円の見積りを提示したら、予算は100万円だからそれ以下にしろと言われた。しかしそもそも100万円以上の見積りになったのは、施主があれこれ設置するユニットバスの機種や条件を吊り上げるからであって、工事代にもはや削る余地がなかった。」(業歴9年営業職)

・「当初、予算は特に決めていないと言っていた施主が、見積り後に予算は300万円までと言い張るようになった。しかも、リフォームに求める条件が厳しく、結果300万円を下回ることは到底無理だったので、『その予算では無理です』とはっきり伝え、こちらから商談を打ち切った。」(業歴11年営業職)

上記の業者の話に共通することは「施主がリフォーム要望・条件を見直してくれない」ということです。予算とリフォーム見積りの金額に大きな差が生じている場合、これを値引きで埋めることはほとんど不可能です。むしろそんな大きな金額差を、簡単に値引きで対応してくれる業者の方が信用できません。

このような場合は、業者からもアドバイスをもらって、どの部分のリフォームをあきらめるべきなのか、割愛してはいけない重要な部分はどこなのかを打ち合わせしていくべきです。そして業者との間にしっかりとした信頼関係ができた頃に、若干の値引きをお願いしてみるという手順の方が無難です。
 

根拠に乏しい値引き交渉をしてくる施主

リフォームにおいて値引き交渉を全くしてはいけない訳ではありませんが、根拠のあいまいな(あるいは根拠のない)値引き交渉は逆効果になります。

・「見積り金額提示後、『お前のところの見積りは高い!』などといって見積り内容に散々文句をつけていたくせに、相見積りを取ったらうちの会社が一番安かったことで態度が豹変し、今度は『お宅の社長をよく知っているから安くしてほしい』とか『お宅の部長さんには世話になったことがあるから今回も頼む』などと言って、急になれなれしくなった。会社に帰って社長や部長に話をしたら、そんな人知らないと言われ、結局1円も値引きをしなかった。」(業歴14年営業職)

・「施主が要望するキッチンの見積書を提示したが、内訳書に品番を書いていなかったことに気がついた施主に『これお宅のミスだよね。いくら値引きしてくれる?』と言われた。しかし、添付資料の図面には品番が書いてあった上、ミスというほどのことではないので『これ以上の値引きはありません』とハッキリと伝えたが、揚げ足を取ってくる施主のように思えて仕方なかったので、値引き提示するのをやめた。」(業歴15年営業職)

・「メーカーショールームに来てくれた施主が定価見積りに不満気な態度を取った。そもそもうちのメーカーでは工事できないので、この定価見積りを元に、工事業者と金額交渉してほしいと伝えると、今度はどこの業者が安く工事してくれるかをやたらと聞いてくる。メーカーという立場上、そんなことを簡単に言えないし、そもそもそんな施主を業者に紹介したら、今度はうちが業者に恨まれるので、非常に困った。」(業歴6年メーカーショールーム勤務)

どの施主もかなりの困った人たちです。自分に都合のいいことにはいい顔をして、そうでなければ無茶苦茶なことを言ってでも自分の主張を通そうとする。これではリフォーム金額の交渉どころではありません。
 

約束を守らない、横柄な程度で値引きを迫る施主

自分の方が買う側だ、契約してやるんだから業者は言うことを聞くもんだ、などと強気に出てしまって業者の意欲を削いでしまうケースもあります。

・「とにかく約束した打ち合わせ日時を守ってくれない。そのくせ、こちらが5分遅刻すると怒る。この施主には通常よりも3割増しの見積りを出して、あえて断られるように仕向けた。」(業歴19年大工)

・打ち合わせの日時に訪問するが不在。30分ほど待ったが、次の仕事もあったので名刺にメモを書いてそこを離れた。すると2時間くらいして会社に『今日打ち合わせなのに担当が来ない』と私が悪者であるかのような電話があった。改めて訪問すると、施主はお詫びもないまま一方的に自分のリフォームプランを話し始めた。この時点で値引きしてあげたい気持ちはなくなった。」(業歴14年営業職)

・「横柄な態度で話をしてくる施主とはできるだけ契約をしないで済むように高めの見積書を提示する。」(業歴10年営業職)

業者と言えども人間です。契約欲しさに何が何でも言うことを聞いてくれるという訳ではありません。まず人として大切なコミュニケーション能力を身に着けてほしいものです。
 

優先順位が付けられない優柔不断な施主

優先順位が決められない…

優先順位を付けることはリフォームの計画を立てる上で非常に重要なことです。時には家族で意見が揃わないこともありますが、そのしわ寄せを業者に押し付けられても無理なものは無理なのです。

あれこれ思い悩んだ挙句、やっぱり元の状態に戻ってしまうなんてこともありますよね。リフォームでも決断できない人は、値引きという点でも損をしているようです。

・「予算は500万円、見積り金額は710万円。将来が不安だからローンは絶対に嫌だという施主。かといってリフォーム内容を削るという訳でもない。その後も数回打ち合わせに臨んだが一向に話が進まない。この施主は欲張りという訳ではないが、なんだか家族の意見を集約できていない感じだった。最終的に相見積りで500万円の業者を見つけたらしいが、結局追加工事で最終的に750万円近い費用を負担することになったらしい。」(業歴6年営業職)

・「最終的に提示した見積りが12~13%程度予算オーバーだったらしいのだが、今回のリフォームで見合わせる箇所を家族で相談するようなことを言っていたのに、その後数か月たっても話が進まない。どうやら家族ともめにもめた挙句、『それくらい値引きしてもらえ』と言われているようで、暗にこちらの値引きを期待しているようだった。12~13%も値引きしたら商売にならないので、こちらも一切引くに引けなくなった。」(業歴31年営業職)

自分たちがリフォームの内容に妥協できないくせに、業者に一方的に値段の妥協を迫る。これでは業者だって「値引き」という協力体制をとることはできなくなります。リフォーム箇所には優先する順番をあらかじめ決めておいて、優先度の低いところを見送ったり、あるいは使用材料のランクを下げるなどの見直しが必要です。
 

業者の協力的な「値引き」を引き出せ!

いかがでしたでしょうか。今回の取材ではかなり業者の本音に迫ってみました。特に印象的だったのは、業者が「この施主のために何とかしてあげたい」と思えるかどうかということです。業者の担当者も人間ですから、自分たちの努力や提案を評価してくれる施主に協力してあげたくなるもの。納得できない業者には「契約しない」という行為を突き付けられる施主。それに対して納得できない施主には「値引きしたくない」という態度で臨む業者。ここに値引きというものの本質が見えてきそうです。皆さんは業者の協力的な「値引き」という行為を引き出すことができるでしょうか。ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。

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