日本の伝統花火 八重芯花火のご紹介
まず読み方から「八重芯変化菊 やえしん へんかぎく」と読みます。八重芯と言っているのに中には二つの芯しか入っていない。何故でしょうか?辞書においては「八重」は幾重にも重なっていること、数多く重なっている事を「八重」と表記されています。
そんな意味も踏まえて昔の花火職人が苦労を重ねて創りだした究極の多重芯花火! これ以上の芯は入れられない。もしくは沢山の芯っと言う意味で二重の芯の花火を八重芯と呼ぶようになりました。
では、実際に画像で日本伝統の様々な八重芯の花火をご覧下さい。八重芯の花火と言っても八重芯変化菊や八重変芯変化菊と煙火店さんによって個性が出るのも八重芯の魅力。
芯の数え方は中心より1番芯のピンク色、2番芯のレモン色、そして一番外側の親星は水色からピンクに変化する菊星になります。
こちらも中に二重の芯が入っているのは分かりますよね。親星は菊先青紅緑で二度変化星です。
少し変わった八重芯をご紹介
和火から霞草に変化する星を使用し親星を含めて三重になっています。画像では分かりませんが実際に生で見ると、開いてから「ざ~、ざ~、ざ~っと」音のする花火でそのテンポが一定に聞こえてくる部分まで計算された好きな花火の一つです。
次は斬新は八重芯をご紹介!
まさかの同色のピンク星を使用して構成されている八重芯。通常の多重芯は異なる色の星を使用して何重になっているか見易く作られていますが、こちらの八重桜はよく見ていないと見逃す程の難しい花火。
これも画像では分かりにくい部分ですが、良く見ると星先で少し加速燃焼させて強制的に消しているんです。説明すると、中心の一番芯から発光し、続いて2番芯、そして親星が発光して三重ともに同時に消え口を揃える為にマジックを使用して強制的に消す。すると芯から外側の親星まで同時に全部消えるという仕掛けです。
かなり難しいですが、何度か同じ玉を見ていると納得な細かい仕掛がされている花火! この八重桜を初めてみた時は僕もそれには気がつきませんでした……(苦笑) う~ん、花火は奥が深い。
上には上が! 三重芯、四重芯、五重芯まで
さらに芯が増えて三重の芯が入った三重芯(みえしん)。そして四重の芯が入った四重芯(よえしん)。さらに五重の芯が入った五重芯(いつえしん)と八重芯と名付けられた時代では考えられないような現代の日本の多重芯花火事情。では、まず三重芯花火からご紹介します。
これは良く分かると思います。1番目の芯から銀、紅、青と三重の芯になっています。この完成度の高さは競技形式の花火でも滅多にみる事が出来ない丸い花火です。
次も三重芯ですが、正確には三重変芯変化菊(みえへんしん へんかぎく)
一番芯より銀、水色、そして三番芯が紫紅点滅と変化して親星は菊先青緑点滅と変化。海外の花火ではまず考えられない日本ならでは素晴らしい花火です。
さらに、もう一つ芯が増えて四重芯変化菊
一番芯より紅、緑、紫、ピンクと四個の芯が入り、親星が菊先青紅点滅と変化しています。
さらに芯が多い五重芯については実際に目で見ると数えられるものもありましたが写真では分かりにくく、もはや芯がいっぱい! っと言う世界で挑戦する煙火店さんもごく僅かです。
それだけ難しいと言えばそうですが、近年の煙火業界で感じるのはやはり見えてこその多重芯。あまりに難しく完成度の低い四重芯や五重芯よりも完成度の高い八重芯や三重芯で色々趣向を凝らして魅せてくれる煙火店さんが多くなってきているように感じます。
大玉の上がる競技形式の花火大会を見る機会がありましたら是非、プログラムと見比べて芯がいくつ入っていたか答え合わせをしてみて下さい。この答え合わせが意外にも難しく、花火観覧の奥深さを感じますよ。
こんな繊細な花火を作る日本の花火師さん達はやっぱり凄いと思います。だからこそ、その色変化や技に気が付きたいと日々花火観覧の修行中です。これからもどんな記憶に残る花火に出会えるか楽しみです。
最後に、2012年に記憶の残った花火の中から1発をご紹介します。
構造は錦冠(にしきかむろ)の三重芯ですがすべて錦先点滅星です。1番芯より緑点滅、紅点滅、緑点滅、そして一番外側の親星も紅点滅。同色の錦星なので芯の数は一瞬分かりませんが、全て点滅変化する星で中心からキラキラと点滅に変化する花が少しづつ大きな点滅花へと変っていく模様は記憶に残るい1発となりました。
あ~、日本っていいなぁ~!