ジンバルドの実験からわかること
アメリカの心理学者ジンバルドが行った実験では、24人の大学生に、刑務所の看守役と囚人役を演じてもらいました。すると、数日のうちに、学生たちは本当に看守と囚人のようにふるまい始め、精神的に追い詰められるものが現われてあまりにも危険な状態になったため、予定より早く実験を打ち切ったというものです。
ジンバルドの実験(小学館の図鑑NEO「人体」より)
「人間は弱いものである」という前提を知る大切さ
人間は完全なものではない、弱い存在である、それを知っていることが大切だということを、ここまで深くほりさげた子ども向けの図鑑があったでしょうか。「人間」の「図鑑」といえば、人の体のしくみを解き明かすもの、そんなイメージを覆される本です。体のしくみだけでなく、人間の行動や心のメカニズムなど、社会学的・心理学的分野にまで領域を広げ、「人間とは何か」という壮大なテーマに果敢に挑んだ名著だと思います。図鑑NEOシリーズの特徴は、大人が読んでも非常に勉強になるという点にあります。子供たちが自由研究のときに手にとって調べ物をするためだけでなく、折に触れて、お父さん、お母さんもいっしょに読んでいくことで、今の時代ならではの視点で世界をとらえ直す、すばらしい機会をくれるでしょう。