食と健康/旬・季節の食事の食べ方・レシピ

低カロリー・食物繊維豊富な寒天(2ページ目)

これから暑くなって来ると、冷たくツルンとした口当たりのお菓子や料理が嬉しい季節です。凝固剤となるものには、寒天、アガー、ゼラチンなどがありますが、今回は日本の伝統食材でもある寒天についてご紹介します。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド


ところてんから生まれた寒天

高槻寒天物語

江戸時代寒天づくりが盛んだった大阪府・高槻市では、寒天についてのコミック教材「高槻寒天物語」を制作し、子どもたちに郷土と食文化の歴史を伝えています。
(監修・発行/高槻寒天プロジェクト)

食品だけでなく科学や医療の分野で活用される寒天は、どのように生まれたのでしょうか。その前身は、ところてんと言われています。テングサを煮出して固めた「太心(ところてん)」が、中国から日本に伝わったとされ、平安期には間食として人気があったとか。

寒天が生まれた歴史には、それから長い年月を経ています。江戸時代初期、京都・伏見の旅館『美濃屋』の主人が、参勤交代途中の薩摩藩主島津公にお出ししたところてんを戸外に捨てたところ凍結し、また日中に溶けるという課程を数日繰り返して乾物となったものを発見しました。これを使って、再度ところてんをつくったところ、色もより白く磯臭さがなくおいしくなりました。

これを僧侶隠元禅師に試食してもらい、精進料理としてふさわしく、飢饉の際には救荒食物となると進められ、「寒晒しところてん」という意味で「寒天」と名付けられたといわれています。

各地に広まる寒天の生産

フレーク寒天

使いやすいフレーク状の寒天。高級和菓子用に使われます。

寒天づくりは12月~翌2月の寒冷期ですが、ただ寒さがきびしければよいのではなく雪が少なく、夜は零下7℃~10℃に下がり、昼にはプラス2℃~8℃上がるという温度差が必要です。

古くは有馬から高槻の摂津平野が生産地で、冬の農閑期の仕事となりました。寒天を煮とかし固めたものをところてんのように突き出し、それを干して糸寒天として作る製法などが生まれました。

さらに1800年代には美濃や諏訪の信州地方にも寒天の製法が伝わり、気候環境や使用するテングサの種類の違いから角寒天がつくられ、現在では長野県の生産量が多くなっています。

今では自然の天候による天然寒天づくりは少なくなり、工場生産で季節を問わず作られ、粉砕してつくる使いやすい粉末寒天などもつくられています。

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