対応能力と研究熱心さでつかんだ、日本での成功
通算400本塁打も、あと21本に迫る
プロ野球DeNAのアレックス・ラミレス外野手(38)は6日、神宮球場で行われたヤクルト戦で、外国人選手として初、史上42人目となる通算2000安打を達成した。六回に元同僚の石川から左翼スタンドへライナーで突き刺さる本塁打を放った。1695試合での到達は長嶋茂雄(巨人)の1708試合を抜き、川上哲治(巨人)の1646試合に次ぐ2番目のスピード記録。来日13年目のシーズンを2000安打まで残り7本として迎え、開幕から7試合目で成し遂げた。
ラミレスはベネズエラ出身で米大リーグのインディアンズ、パイレーツなどを経て、2001年にヤクルトに入団。08年に巨人、12年からDeNAに移籍したが、その間、首位打者1度、本塁打王2度、打点王に4度輝き、08、09年には2年連続でMVP(最優秀選手)に選ばれている。
もともと打撃センスに優れた選手だった。内角の球をうまくさばく器用さがあり、右打ちもできる。打つポイントが後ろで、変化球に対応できるタイプ。しかし、来日1年目は外角の変化球に対応しきれずに苦しんだ。そのラミレスに当時、ヤクルト監督だった若松勉氏は「日本では弱点を攻めてくるから、右打ちを心がけないと長くやれないよ」とアドバイス。さらに打撃コーチを務めた八重樫幸雄氏は「外角の見極めが日本でやる上での心得だ」と教え込んだ。その後、三振や内野ゴロが減り、ヒットを量産。当時のヤクルト首脳陣の我慢の起用が、ラミレスの才能を日本で開花させたといえるだろう。
日本での成功理由は、対応能力の高さとその研究熱心さだ。アメリカとの違いを研究し、「日本では捕手が試合をコントロールしている」ことにたどり着いた。だから、捕手のリードを研究し、いくつかのパターンを発見した。
日本の投手はアメリカの投手と比べてひじょうにコントロールがいい。そのため、初球に様子見としてボールから入ってくる可能性が高いこと。そして、2ボールノーストライクや2ボール1ストライクの状況になった際、必ずストライクを取りに来ること。さらに、フルカウントになった場合、その投手の最も得意とするボールを投げて来ること。「野球はマインドゲーム」と言ってはばからないラミレスは、日本人以上に繊細で柔軟な心を持っていたのだ。そうでなければ、異国の地で10年以上もプレーをし、結果を残せるわけもなかった。
将来は日本で監督をしたいという夢を持つラミレス。その前にあと21本に迫る通算400本塁打(史上17人)がある。「DeNAで優勝」という大目標がある。日本を心の底から愛してくれたラミレスに大きな拍手を送りたい。