納めている税額から試算する
まず、所得税額から考えてみましょう。あなたが4000万円以上を借入れてマンションを購入した場合、年末残高が4000万円以上あれば、計算上の控除額は、4000万円×1%=40万円です。
あなたの所得税額が9万円であれば、控除額は40万円>9万円で、9万円です。
消費税増税前の購入であればどうでしょうか。
最大控除額は2000万円となり、計算上の控除額は2000万円×1%=20万円。
ここでも、控除額は20万円>9万円で、9万円。住宅ローン減税拡大の恩恵はありません。
では、住民税からの還付を考えるとどうでしょうか。
所得税から控除しきれなかった“もったいない”は、40万円-9万円=31万円。
現行制度の延長条件だと、“もったいない”は、20万円-9万円=11万円です。
現行制度の条件では、住民税からの控除額上限は9万7500円ですから、あなたの住民税が9万7500円以上であれば、拡大条件が適用されたほうが控除額的にはお得です。適用期間が10年あることも考慮したいポイントです。
今回の住宅ローン減税の改正は「大幅拡大」。これは間違いありませんが、自分の条件や自分の数字にあてはめると、必ずしも大幅拡大になるとは言えない場合もあるのです。自分の税額を把握し試算してください。
借入額から試算する
大切なのは自分の軸。どのようなライフスタイルを希望するのか、何をお得とするのか。自分と向き合ってみよう
住宅ローン減税の適用期間は10年間です。この間、返済を継続しますので残高も減少していきます。10年間の最大控除額400万円の恩恵を受けるには、10年間にわたって4000万円の残高をキープしておく必要があり、購入時には4000万円超の借入れが必要です。
シングルとひとくくりにはできませんが、扶養家族がいないと所得控除も少なく、同年収のファミリー層よりも税額が高くなるケースが考えられます。その一方、ファミリー層ほどの部屋数や面積が必要なければ、購入額や借入額が少なくて済むこともあるでしょう。逆に、一等地でゆったりしたマンションを購入する場合は、購入額も借入額も高額になることも考えられます。大切なのは、「自分の場合はどうか」と考えること。平均値や統計値など、一般的なことにとらわれず、自分の数字で試算することが重要です。