原田マハ『ジヴェルニーの食卓』
山本周五郎賞を受賞した美術ミステリー『楽園のカンヴァス』から1年。待望の最新作『ジヴェルニーの食卓』が上梓されました。元家政婦の修道女が色彩の魔術師・マティスの晩年を語る「うつくしい墓」、ドガと彫刻のモデルになった貧しい踊り子の話「エトワール」、画材屋の娘がセザンヌに父の思い出をしたためた手紙を送る「タンギー爺さん」、モネと家族の愛の物語「ジヴェルニーの食卓」の4編を収録。西洋美術の巨匠の人生を、そばにいた女性の視点で描き出した作品集です。
それぞれ異なる魅力がありますが、なんといっても表題作の「ジヴェルニーの食卓」がおすすめ。視点人物は、モネの義理の娘ブランシュです。まず、ブランシュの母アリスとモネが結婚するまでの経緯が複雑。 アリスはモネのパトロンだったエルネスト・オシュデの妻だったのです。