名所・旧跡/関西の名所・旧跡

吉野さくら散歩・夢心地の桜と名所を訪ね歩く【奈良】(3ページ目)

遥か昔より、修験道の霊場として信仰を集め、南北朝時代には南朝の朝廷が置かれたり、戦国時代には豊臣秀吉が優雅な花見を楽しんだことでも知られる吉野山。世界遺産にも登録された歴史ある地は、春の訪れと共に麓から山へ移りゆきながら桜が花を咲かせる夢心地の風景を楽しめる場所でもあります。今回は吉野さくら散歩と題して、吉野山の素敵な桜の風景を歴史に縁の深い名所と共に歩いてみましょう。

村田 博之

執筆者:村田 博之

名所・旧跡ガイド


【中千本】豊臣秀吉も感動した一目千本の桜に惚れ込む

金峯山寺・蔵王堂(5)

蔵王堂の中千本側の入口(2007年4月14日撮影)

吉野の桜と名所を訪ね歩く「吉野さくら散歩」、続いては中千本です。

蔵王堂から中千本公園へ向かって道が続いており、お店や宿が建ち並ぶ比較的平坦な道をゆっくりと歩いて行きます。

 

吉水神社(1)

南朝の皇居も置かれた吉水神社。境内では桜も楽しめます(2008年4月4日撮影)

ここで、ぜひ立ち寄りたいのが吉水神社Yahoo! 地図情報)。室町時代の初期、朝廷が2つに分かれた南北朝時代に南朝の皇居が置かれた場所です。世界遺産にも登録されています。

坂を上って門をくぐり、お手水で浄めたら、まずは右手にある高台を望むスペースに行きましょう。
吉水神社・一目千本

吉水神社・一目千本。既に散りかけではありますが、ヤマザクラが山を覆う様子は素晴らしいものです(2007年4月14日撮影)

ここからの眺めが「一目千本」。谷の向こうの山一帯が中千本、上千本にあたり、桜の最盛期はヤマザクラの花が山を埋め尽くす絶景を楽しめます。吉野にお花見でやってきた豊臣秀吉も感動したと言われる絶景が、現代でも楽しめるというのはとても貴重ですね。

 

吉水神社(2)/源義経・静御前惜別の舞台に咲く桜

源義経・静御前惜別の舞台跡に美しく咲く桜(2008年4月4日撮影)

また吉水神社は、源頼朝に追われて吉野に落ち延びた源義経が静御前と共に暮らした場所としても知られています。

源義経との惜別の時、静御前が舞を踊った舞台跡には、背の高い桜の木があり、毎年春になると美しく咲き誇りますよ。

 

沿道で見かける桜も見応え十分

東南院の桜

東南院の二重塔と桜(2008年4月4日撮影)

蔵王堂から中千本の方向に向かう道の両脇には、お店や宿坊、寺院などが立ち並びます。宿坊や寺院の中にも桜の木があり、中千本のヤマザクラの木々が花開く前でも、これら沿道の桜が咲いていることがあります。まさに吉野ではいつもどこかで桜が咲いているという訳ですね。

 

中千本・五郎平茶屋から眺める如意輪寺と桜

中千本・五郎平茶屋から眺める如意輪寺と桜(2008年4月4日撮影)

勝手神社(建物は焼失したため、現存せず)の先にある三叉路で、右手の急な上り坂を進むと上千本へ、左手に坂を下ると中千本公園へ行くことができます。

中千本公園では、谷の向こうに後醍醐天皇の勅願により建てられた如意輪寺が望めます。また中千本のヤマザクラが咲いている時には山が一面桜の花で覆われる吉野ならではの風景を楽しめますよ。

 

近鉄吉野駅からの移動でかなり吉野山を登りましたが、まだまだ上があります。続いては上千本に向かいましょう。庭園の美しい桜や、桜を見下ろす素晴らしい風景が待っていますよ。次ページに続きます。
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