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「二子玉川ライズ」が世田谷区の相場に影響(2ページ目)

23区城南エリアも、都心同様に全体に市場は軟調で、供給は減少、価格は低下傾向にあります。しかし、区による違いもあるようです。東京カンテイの調査をもとに、城南エリアの相場動向をみてみましょう。

執筆者:山下 和之

品川区でもコンパクトタイプの物件が増加

平均坪単価がほぼ横ばい傾向の品川区でも同様の傾向がみてとれます。2009年1~3月の平均専有面積は40 m2台。2008年は58 m2台でしたから、目黒区で半分以下になったのに比べると縮小幅は小さいのですが、こちらもワンルームやコンパクトタイプのマンションが増えていることをうかがわせます。やはり、3LDKなどのファミリー向け物件に限ってみれば、価格が低下傾向にあることは間違いないでしょう。

この品川区の2009年1~3月の平均坪単価は337.2万円でした。ワンルームやコンパクトタイプに引っ張られているとすれば、ファミリータイプのマンションについては、坪単価300万円前後から、それ以下に下がっている可能性もありそうです。実際、京浜急行本線立会川駅では、平均専有面積52 m2台の物件が、平均坪単価246万円で販売されています。

コンパクトタイプの急増には懸念の声も

コンパクトタイプのマンションの増加傾向について、前出・中山氏はこうみています。

「もともと、都心部やその周辺エリアでは、大規模な超高層マンションの下層階に比較的専有面積の小さい物件が供給されていました。ところが、最近は中規模なマンションで、ほぼ全室コンパクトタイプのマンションという物件も増えてきました。雪崩を打ったような勢いで増加しており、早晩ダブツキ感が出てくるのではないかと懸念されます」

コンパクトマンションの受け皿は、主にシングルやディンクス。晩婚化、少子化などでそのニーズが増えているのは間違いありませんが、需要が無限にあるわけではありません。各社がいっせいにこの分野に力を入れるようになれば、需要と供給のバランスが崩れて、売れにくくなる可能性もあります。それが価格低下につながればいいのですが、供給の先細りにならないよう願いたいものです。

「二子玉川ライズ」が世田谷区の平均価格に影響

世田谷区は根強い実需に支えられて、比較的堅調に推移しています。先に触れたように、2009年1~3月の平均坪単価は2009年に比べて1.0%のマイナスですが、ほぼ横ばいを維持しているといっていいでしょう。しかも、平均専有面積は2008年の73 m2台が、2009年には80 m2台になっています。目黒区や品川区と違ってファミリー向け中心の供給が続いているのです。

「住宅地としての世田谷区へのニーズは強く、そう急激に価格が下がることはありません。もともと、都心ほど価格上昇の影響を受けなかったこともあり、下げ幅も小さくなっているという事情もあります。今後はまだ『二子玉川ライズ タワー&レジデンス』の供給が続きます。これが価格を下支えするかたちになって、23区の中で、世田谷区だけは平均坪単価が下がりにくいのではないかと思われます」(前出・中山氏)

この「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」は、1LDKで坪単価340万円ほど。専有面積の広い高額物件は坪700万円を超えます。総戸数1,033戸で、当分分譲が続くだけに、世田谷区全体への価格面での影響が続きそうです。

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