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最終回、終わりよければすべてよし?(2ページ目)

最終回の印象はドラマ全体の評価に影響します。「好きなドラマ最終回」のアンケートから、いい終わり方のパターンを考えてみます。

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

ドラマガイド


重要人物の死

8位の『龍馬伝』のように主人公が死ぬとドラマ的に盛り上がるし、第一これ以上続けられません。ただ絶対に続けられないかというと例外はあり、『仮面ライダー龍騎』は最終回の一話前に少女(ブレイク前の志田未来でした)を助けようとして主人公は死んでしまいます。最近では『平清盛』が最終回で清盛が死んではいないものの重体のまま生霊として飛び回っていました。

主人公に近い重要人物が死ぬのも盛り上がります。このパターンの名作が4位の『傷だらけの天使』。修(萩原健一)が帰ると亨(水谷豊)がカゼをこじらせて亡くなっており、修はドラム缶の風呂に亨の亡骸を入れてリアカーに乗せて埋立地に捨てにいくラストは印象的です。

 


「はてしない物語」の一区切り

『北の国から』や『時間ですよ』は全体を通してみると、それぞれの最終回はシリーズの一区切りという感じで、後から見返すと淡々としています。しかしいい印象があったからその後の続編につながるわけです。『ゲゲゲの女房』も続編はありませんが、主人公たちの人生に一区切りつけて終わり、淡々系ですね。

 

全部のせ

そして1位、2位は三要素をすべて含んでいます。

1位の『太陽にほえろ!』の最終回はボス・藤堂係長(石原裕次郎)が久々に戻ってきて刑事たちに感謝の言葉を述べて番組を総括します。名物の殉職者を出さずに〆られたのでハッピーエンドですが、最終回の翌年には石原裕次郎が亡くなっています。また、またその後もパート2や名前を変え『七曲署捜査一係』として続いていきます。

2位の『JIN-仁-』は南方仁(大沢たかお)は現代に帰ることができてハッピーエンドですが、坂本龍馬(内野聖陽)は史実通り死に、また謎が解明されたわけではないので続けようと思えば続けられます。『とんび』は『JIN-仁-』のスタッフに内野聖陽主演で、本当は『JIN-仁-』の続編を作りたかったけど綾瀬はるかが『八重の桜』の主役になってしまったためできなかったのだというウワサがあります。

やはり印象に残る最終回にするにはこの三要素です。

  

ガイドの選ぶベスト最終回ドラマ

最後にガイドが好きな最終回を紹介しましょう。1983年フジテレビ制作、山田太一脚本の『早春スケッチブック』です。

望月家は私生児の和彦(鶴見辰吾)を連れた都(岩下志麻)と、先妻に先立たれ良子(二階堂千寿)を連れた庄一(河原崎長一郎)が再婚した血のつながらない家族だが平穏に暮らしていた。しかし高校三年生の和彦の前に、突然謎の女・明美(樋口)があらわれ、写真家の沢田竜彦(山崎)のところに連れて行く。日常を否定する竜彦に和彦はひかれていくが、実は二人は父子であり、また沢田は病気で余命三ヶ月だったのだ……

日常を否定する実の父・沢田とマジメに働く育ての父・庄一という二つの生き方を、二人の間を揺れる和彦で対比させるという構成です。最終回の一話前には妹・良子も沢田にひかれ、かつてつきあっていた母・都も死期が近い竜彦が心配であり、庄一が孤立している状態。

これでどういう最終回にするのか?一週間考えてわかりませんでしたが、最終回を見終わるとこれしかないという納得の結末でした。ストーリーはいいませんが、マジメにこつこつ働くことも大切です、といろいろな生き方を認めるものでした。

ホームドラマでありながら意外性のある結末、ぜひ見てほしい名作ドラマです。

 


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