同じ使うなら気持ちよく使わないと損である
私は、定年退職を控えている人にセミナーでマネープランのお話をするとき、「同じ金額を使うなら気持ちよく使わないともったいない」という話をよくします。下手なお金の使い方をしている人は、老後の家計の状況把握もできず、今どれくらい使っても差し支えないかがまったく見えていません。その上で「強羅花壇での宿泊込みで10万円の箱根旅行」に行ったとします。定年退職後のお祝いで旅行したとしても、「こんなゼイタクをして長い老後は大丈夫なのだろうか」と考えてしまい、おいしい食事ものどを通りません。大涌谷の風景など見ていると、将来に対する不安が高まり、帰りの電車を夫婦で無言のまま帰ったりします。はっきりいって、最悪のお金の使い方です。
同じ旅行であっても「20年の老後を見据えても、毎年旅行予算10万円を確保することは問題ない」というようなシミュレーションをしてある夫婦であれば、どうでしょうか。同じ食事の味わいもまったく違ってきますし(とても美味しい食事のことでしょう!)、ふかふかのベッドも定年退職のご褒美として気持ちよいものに感じられ、気持ちの良い朝を迎えられるでしょう。大涌谷も風光明媚なスポットとして楽しみ、楽しい旅行であったと、友人や子どもに報告したいと思いながら帰路につけるに違いありません。
極端な例え話ですが、同じ金額を使っても、同じ満足度になるとは限らない、という例を挙げてみました。前のページでは買い物の吟味のようなパターンから、このページでは買い物の計画をきちんとたてるパターンから、お金を使う「前」の大切さを説明してみました。
もっともっとお金と上手につきあえるようになるために、お金の使い方をじっくり考えてみてください。
お金の重みを感じる使い方をしよう
使う前にしっかり考える、ということは、お金の重みを考えるプロセスでもあります。お金の重みを理解できない消費はなかなか満足を感じることができません。お金を使うときは気持ちよく使い、しっかりその重みを感じてください。お金の重さも感じず消費してしまうのはうまいやり方ではありません。仕事でがんばって稼いだ自分を思い出して自分を褒めてあげたりするのも、お金を気持ちよく使う方法のひとつです。
ムダではないお金の使い方を気持ちよくできる人は、自然とお金を貯められる人に変わっていくことでしょう。